円キャリートレードの巻き戻しは続くか
全文紹介

2007/03/09


~今後のリスクは米国景気の下振れと日銀の利上げ~


○株式市場では、2月27日の中国株価急落をきっかけに世界の株価が大幅に下落し、外国為替市場では円相場が急上昇した。今回の世界的な株価下落は、投資家のリスクテイク行動を抑制するとともに、そうした行動の一つである円キャリートレードに影響を与え、円キャリートレードの巻き戻しが顕在化した。国際金融市場の混乱を受けて、円キャリートレードの巻き戻しが今後も続くかどうかに関心が高まっている。


○そもそも円キャリートレードとは低金利通貨である円で資金を調達し、高金利の通貨に投資して運用する為替取引と言われる。もっとも、グローバルな投資家(ヘッジファンドなど)は直接、円を借り入れる必要はなく、スワップ市場における取引(直先スワップ取引)を通じて実質的に金利の高い外貨資産で運用することができる。これまで、日本と海外との金利差の拡大や為替相場の安定を背景に、先物の円売り・ドル買いが増加してきたが、今回の世界的な株価下落を背景にリスク回避的な傾向が急速に強まり、円キャリートレードの巻き戻しが進んだとみられる。


○円キャリートレードの今後の見通しについては、巻き戻しが一段と進む可能性は低いとみられる(メインシナリオ)。その理由としては、(1)日本と他の先進諸国との金利差が依然として大きいこと、(2)日本よりも金利の高い国で追加利上げの可能性があり、日本と海外の金利差が一方的に縮小していくわけではないこと、などがあげられる。


○円キャリートレードの巻き戻しが加速するリスクシナリオとして2つの要因が注目される。第1は、米国の景気・株価の下振れリスクである。米国ではインフレ懸念が残存しているなかでFRBが利下げに踏み切る可能性は低い。しかし、設備投資の下振れや住宅市場の回復の遅れが一段と顕著になれば、米国株価が下落し、利下げの可能性も高まる。米国株価が下落すればリスクテイク行動(キャリートレードを含む)が抑制されることで、円高・ドル安圧力が強まることが考えられる。


○第2は、日銀が利上げを急ぐリスクである。過去の例をみると、日銀の金融緩和は日本や米国の株価を押し上げるとともに、円安をもたらす効果があった。しかし逆に日銀が利上げすれば、日本株価や米国株価に下落圧力がかかる可能性は無視できない。試算によれば、2月の日銀の利上げは当面、日米株価に下押し圧力が残存する可能性がある。


全文紹介 前のページへもどる

ページの先頭へ

1234567890