高成長を続けるインド経済の課題
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2007/04/26


~「マーケット・インディア」から「ファクトリー・インディア」に変われるか ~


○インド経済は、足元で9%近い高成長率を維持しつつ好調に推移している。インドの消費市場が急成長しているのを受けて、輸送機器関連業種を中心に日本企業はインドでの事業拡大に積極的である。かつて、インドは、長期的には有望だが短期・中期的にはASEANほど魅力がないと思われていた時期もあった。しかし、いまや、インドは、日本企業の注目度が中国に次いで高い国になりつつある。


○インド経済の高成長のメカニズムは、東アジアによく見られるような外資系企業による工業製品輸出を梃子にしたものとは異なり、内需の拡大によるものであるといえる。日本企業のインドへの関心も、国内市場獲得(マーケット・インディア)にあり、輸出向け生産拠点機能(ファクトリー・インディア)を期待しているわけではない。


○インドの足元の経済成長率は、潜在成長率を超えており、インフレギャップの状態にあると見られる。このため、景気拡大がインフレ圧力を高めるとの懸念が高まっている。物価上昇圧力を抑制するには、潜在成長率を引き上げ供給面のボトルネックを解消する必要があるが、それには、投資増加による供給能力拡大が不可欠である。インドの投資率は東アジアに比べると低すぎ、今後、投資拡大の余地は大きいと考えられる。


○投資拡大に重要な役割を果たすのが外国からの直接投資(FDI)である。人口11億人の大国であるにもかかわらず、インドへのFDI流入額は少ない。FDIが少ない原因はインドの投資環境にあり、最大の問題は、エネルギーや輸送などの経済インフラのキャパシティーが東アジアに比べて小さいことである。しかも、恒常的な財政赤字が続くインド政府は、インフラ整備に充当する資金の調達が困難な状態にある。


○今後、インドが潜在成長率を引上げるためには、ODAや民活資金を利用しつつインフラ整備を進め、「ファクトリー・インディア」としての発展を促す必要があろう。それができなければ、インドは製造業に敬遠され、一部の高学歴者が雇用されるIT産業ばかりが発展し、所得分配の不平等が加速される結果を招きかねないであろう。


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