円安圧力をもたらす外貨建て投資信託
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2007/05/18


~家計マネーで押し上げられるドル円相場~


○為替市場で円安が進行する背後で、わが国の対外証券投資が拡大している。とりわけ金融機関の対外証券投資ストックをみると、2006年末時点で投資信託が45兆円と、銀行(58兆円)に次ぐ規模であり、保険の44兆円、年金基金の29兆円を上回っている。投資信託(ストック)は数年前までは保険や年金基金を大きく下回っていたが、足元では低金利の継続もあって増加基調となっている。最近の投資信託の保有主体では家計部門の投資拡大が顕著である。


○外貨建て投資信託(純資産)は2007年4月末時点で32.3兆円であるが、前年比47%と引き続き伸びが高い。通貨別にみると、米ドル建てが12兆円で全体の約4割を占め最も大きいが、ユーロ建て(8兆円)、豪ドル建て(3兆円)、英ポンド建て(2兆円)を合計すると、ほぼ米ドル建て資産の規模に匹敵する。


○本稿では米ドル建て投信とドル円相場の関係を定量的に分析した。一般に、為替相場の動きは金利差で説明されることが多いが、ドル円相場については、過去のデータをみると、「日米金利差の拡大→ドル高・円安」という関係がそれほど明瞭に確認できない。近年、米国景気が弱い中でもドル高・円安が進んだ原因としては、トレンド的に拡大している家計の外貨建て投信信託が無視できないと考えられる。ドル円相場は2005年初の円高ピーク時(1ドル=103円台)から17円程度ドル高円安となっているが、試算によれば、このうち半分程度(8円)はドル建て投資信託の拡大によるものである。


○今後については、仮に内外金利差が多少縮小したとしても、家計のリスク資産(投資信託)が全体のポートフォリオに占める割合が低いことなどを考慮すると、外貨建て投信の拡大基調が続く可能性が高い。このため、今後も基調的な円安圧力が続くとみられる。もっとも、世界的な株価の調整などのショックを背景に、家計の投資スタンスが慎重化すれば、ドル建て投信の伸びが低下し、ドル円相場が円高に振れることも考えられる。


○円高リスクとしては、為替証拠金や通貨先物など短期的なオフバランスの取引の動向も無視できない。投資家は株価が上昇している間は比較的リスクをとりやすいが、株価が調整すれば、投資家のリスクテイク余力が低下して円高圧力がかかることも懸念される。


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