「ポスト・プーチン」のロシア経済
全文紹介

2007/08/03


~「双子の黒字」と「一つの基金」が支えるロシア経済の高成長は続くか~


○急速な経済成長を続けるロシアへの世界の関心が高まっている。日本企業は、従来、欧米企業に比べてロシア進出に慎重であった。しかし、最近、ロシアが中長期的に有望な市場であるとの認識が広まり、日本企業にとってのロシアの位置付けが今までとは大きく変わろうとしている。日本の大手自動車メーカーのロシア現地生産進出は、それを象徴的に示すものといえよう。


○ロシア経済は、良好な雇用所得環境に支えられた個人消費拡大に牽引され、高成長を続けている。個人消費好調の代表例は外国乗用車の販売急拡大である。乗用車市場での外国車シェアは、2000年には20%にすぎなかったが2006年には50%にも達した。これは、ロシアの消費者が高品質製品への指向が強いことを示唆する事例といえる。


○ロシア経済を支えているのは、「双子の黒字」と「一つの基金」である。輸出の6割をエネルギーが占めるロシアは、原油高による経常収支黒字で巨額の所得移転という恩恵に浴している。また、足元では民間資金流入増により資本収支の黒字幅も拡大している。さらに、原油輸出税収入の積上りにより安定化基金の残高が巨額に膨らんでいる。これは、原油価格下落時に為替相場急落を回避する安全弁となる。ロシア政府は、この安定化基金を原資にパリクラブ債務を完済し、国際金融界での信認を高めることに成功した。


○ロシア経済の大きな問題点は、貯蓄率が高いにもかかわらず投資率が低いことである。しかし、投資が今後拡大する兆候も出てきた。まず、ロシアでは賃金が急上昇していることから、生産要素面で労働から資本への代替が発生しやすい状況にある。また、企業の資金繰りが好転しており設備投資が可能な状況になっている。さらに、財政が黒字であるため、政府がインフラ整備資金を投入できる余地も大きいといえる。


○世界の原油需給状況から考えて原油価格が暴落する可能性は当面低いと見られ、原油高を背景とするロシア経済の高成長は今後も続く見込みである。2008年3月には新大統領の選挙が行われるが、プーチン大統領の路線を踏襲する人物が当選する可能性が高い。そうなれば、ポスト・プーチンのロシア経済は、外資の進出が加速し堅調に拡大するというシナリオが濃厚であるといえる。


全文紹介 前のページへもどる

ページの先頭へ

1234567890