産業競争力から見たロシア経済
全文紹介

2007/10/01


~ ロシアの産業における強みと弱みは何か? ~


○最近のロシア経済好調の原動力は原油高である。しかし、原油高はロシア経済にとって諸刃の剣でもある。原油高による所得移転が内需を拡大させる反面、原油高が通貨高をもたらしロシアの国際競争力を低下させるからである。ロシアが、資源輸出増加による為替相場増価で製造業の国際競争力が阻害されるという、いわゆる「オランダ病」に罹っているのではないかと危惧する見方もある。こうした中で、資源エネルギー以外の産業が経済を支えていけるかどうかがロシアにとって大きな問題となっている。


○しかし、アジア通貨危機以降、日本企業のフィリピンへの関心度は、タイやベトナムに比べてかなり低くなっている。フィリピンに対する日本企業の評価が後退したのは、大統領選挙をめぐる政治情勢混乱、テロやクーデターによる社会情勢動揺などの要因が影響したためと見られる。ASEAN域内でベトナムなどの新興勢力が台頭する中、フィリピン経済の今後の成長軸が何であるかがやや見えにくくなっている。


○旧ソ連時代の遺構を引きずるロシアの産業の競争力は弱く、国内市場でのシェアを外資系企業に奪われつつある。市場経済のもとでは、一般的に、技術水準が高く生産性が高い地域に生産要素が移動し、そうでない地域の生産活動は停滞してゆくと考えられる。このため、今後、外資系企業が多く立地する地域に新たな産業集積が形成され、それが産業競争力向上への活性剤になる可能性がある。産業競争力向上の大きなカギは外資導入促進にあるといえる。


○ロシアの産業にとって大きな弱点となっているのは、市場経済に適合した銀行部門の不在である。銀行の大半は貸出規模が極めて零細であり、ほとんど金融機関としての機能を果たしていないと見られる。これは、企業の資金調達が困難であることを意味する。


○エネルギーが豊富で安価なことはロシアの産業にとって強みであるとの指摘がある。しかし、これは天然ガスの国内価格が国際価格に比べて著しく低水準に統制されていることによるものと考えられる。市場原理が浸透してゆく中、コストを大幅に下回る水準に価格を統制するのは難しいことから、現在のエネルギー価格の低さがロシアの強みとして今後も続くかどうかは疑問である。


○ロシアの資本ストックは老朽化しており、競争力向上のためには更新が必要である。貯蓄率が高いことや、労働コストが上昇していることなどから見て、今後、投資が拡大し資本ストックの更新が加速することも期待できる。労働力については、賃金の急上昇や将来の労働人口減少懸念などがマイナス要因となっているものの、理工系大卒者数が多いという点はロシアの強みであるといえる。ハイレベルな理工系人材を活用した研究・開発型ビジネスではロシアが優位性を発揮できそうである。


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