EU加盟後の東欧経済
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2008/09/08


~ チェコ、ポーランド、ハンガリーの経済動向と企業進出動向 ~


○2004年にEUに加盟した東欧3カ国(チェコ、ポーランド、ハンガリー)は、西欧市場向けの生産拠点として一躍脚光を浴びるようになった。EU加盟後のFDI(外国からの直接投資)流入増加を背景に、東欧3カ国の輸出と工業生産は大きく拡大した。こうした中で、近年、東欧3カ国への日系企業進出も大幅に増えている。


○東欧3カ国の経済は、EU加盟にともなう投資・輸出の拡大という追い風を受けている。チェコとポーランドではこうした「EU加盟効果」を背景に景気が拡大しているが、ハンガリーは景気低迷に陥っている。ハンガリー経済不振の理由は、大幅な財政赤字に陥ってしまい、これを是正するための引き締め政策が内需を押し下げたことによる。


○東欧3カ国では、各国通貨の対ユーロ為替相場が上昇し、輸出企業の収益が圧迫されているため、産業界を中心に共通通貨ユーロ導入を求める声が高まっている。ユーロ導入にはマーストリヒト基準を満たす必要があるが、財政赤字の大きいハンガリーは現状では基準到達が難しい。また、東欧3カ国の政府は、財政構造健全化を確立する前のユーロ早期導入には積極的ではなく、実際のユーロ導入は2012~2014年頃にずれこむと見られる。


○東欧3カ国のなかで累積FDI総額が最も多いのはポーランドであるが、国民一人当たりベースで比較すると、チェコが最も多い。これは東欧地域でチェコが最も投資環境が良いことを示唆するものといえる。


○チェコ、ハンガリーは国土が狭く人口も少ないため、外資企業進出増加にともない、工場用地不足、労働力不足といった問題が深刻化しつつある。ポーランドでも、人件費は上昇傾向にあり、労働市場の逼迫はチェコ、ハンガリーほど深刻でないとはいえ、外資系企業進出が集中する地域を中心に労働力確保が困難になるケースも出てきている。


○チェコ、ハンガリーは、今後、少数精鋭で高付加価値の経済活動を行う国を目指す必要がある。例えば、単なる組み立てではなくR&D機能を併せ持つ製造業を指向するべきであろう。ポーランドは、スペインと同様に「EU統合効果」を追い風に輸出主導で高成長を遂げ欧州の新興経済大国となることが期待される。ただ、今後、ポーランドが外資導入による経済発展を持続するには、ユーロ導入と並んでインフラの整備を中心とする投資環境改善が課題となろう。


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