台頭するブラジル経済  ~ 豊富な資源と工業力を強みに「第二の米国」へ飛躍をめざすブラジル ~
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2009/01/13


○ブラジル経済は、潜在力の大きさが期待されながらも、1980年代には対外債務危機やハイパーインフレーション、1990年代には通貨危機といった混乱のため、なかなか安定成長軌道に乗ることができなかった。しかし、2004年以降、経済成長率は持ち直し、2008年上半期の成長率は6%台と、ようやく他のBRICs諸国との差が縮まってきた。


○ブラジルの最近の景気拡大の背景として、まず、2002年に急落した為替相場が2003年以降は一転してレアル高となり、それに伴って金利が低下したことがあげられる。レアル高の背景には、当初、経済運営が不安視されていたルーラ政権が市場機能と財政健全化を重視する姿勢を明確化したことによる、外国投資家のブラジルへの信認回復がある。


○昨今の世界的な資源ブームにより、資源大国であるブラジルへの世界の注目が高まっている。ブラジルの最大の輸出品目である鉄鉱石は、中国の鉄鉱石需要拡大などを追い風に急ピッチで輸出が増加してきた。また、第二位の輸出品目である原油も、大西洋沖の海底油田開発により生産拡大が続いてきた。さらに、ブラジルでは、砂糖きびを原料とするエタノールの生産も拡大しており、石油代替燃料としての将来性が注目されている。


○ブラジルの輸出品目の上位に並ぶのは一次産品であるが、ブラジルは単なる一次産品供給国ではない。輸出全体に占める一次産品の比率は3割であるのに対し、工業製品の占める比率は5割にも達している。工業製品輸出品目のトップは航空機、第二位は自動車である。


○ブラジル経済にとって大きな問題は対外債務である。対外債務返済負担の重さを示す指標であるデットサービスレシオは、足元で40%前後と、警戒ライン(30~40%)を上回っている。今後、一次産品価格下落の長期化などにより輸出低迷が続けば、対外債務返済のための外貨調達難の懸念が浮上し、レアル安につながるおそれも出てくるだろう。


○ブラジルは、30年前に高度経済成長時代が終わっており、現在の経済成長率は中国やインドほど高くない。他方、著しく高水準な国内金利が経済成長率を押し下げているという側面があり、これを是正すれば成長率を高めることが可能であろう。


○ブラジルは、一次産品が豊富な上に工業力もあるという、米国型の経済構造を有しているといえる。中長期的には、ブラジルは、「第二の米国」ともいうべき大国として世界経済の中で台頭してゆく可能性があろう。


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