アルゼンチン経済の復活は本物か? ~ 5年連続で8%以上の経済成長率を維持するアルゼンチン ~
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2009/01/19


○アルゼンチンは、20世紀初頭に世界有数の富裕国となったが、第二次世界大戦後は、一転して、ハイパーインフレーションなどの経済混乱により長期の経済低迷を余儀なくされた。そのうえ、2002年には通貨危機による為替相場急落で景気は大幅に後退し、対外債務のデフォルト(返済不履行)に追い込まれるという苦境に陥った。


○しかし、通貨危機後、アルゼンチン経済は急速に回復した。経済成長率は、2003年から2007年まで、5年連続で8%を超え、ブラジルやロシアをも上回る高成長となった。


○アルゼンチン経済回復の背景として、まず、通貨危機後の変動相場制移行で為替相場が大幅に切り下げられ輸出競争力が回復した点があげられる。また、個人消費拡大には賃金急上昇が大きく寄与していると見られる。政府は所得増による景気回復を図るため大幅賃上げを容認しており、近年、賃金の平均ベースアップ率はインフレ率を上回る20%前後で推移している。市場では、急速な賃上げは企業競争力を削ぎインフレを加速すると懸念する声がある。


○アルゼンチン経済の回復を支えた要因として農産物関連の輸出拡大も見逃せない。アルゼンチンの品目別輸出の上位3品目はすべて大豆関連であり、これらで輸出の1/4を占めている。中国等での大豆需要拡大に加え、今後は、バイオディーゼル向け大豆需要拡大も見込まれることから、大豆は、アルゼンチンにとって将来的にも有望な輸出品であると位置づけられよう。


○アルゼンチン経済の大きな課題は、国際金融市場への復帰であり、その意味で、2002年にデフォルトした国債の保有者との債務再交換交渉のゆくえが注目されている。アルゼンチンは、主な新興市場国の中で、政府の外債発行残高が最も多い国である。アルゼンチン経済の今後の行方は、国際金融界にとっても大きな関心事といえるだろう。


○アルゼンチン経済のリスクは、財政赤字とインフレが深刻化し経済が破綻するという過去の悪夢の再現である。慎重な経済・財政運営によってそれを防ぐことができれば、アルゼンチンは、欧州並みの高い経済水準・ビジネス環境と農業部門の強い国際競争力を背景に、安定的な経済成長を持続できる力を持っている。


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