厳しさを増す企業の資金繰りと「バーゼルII」 ~「バーゼルII」の仕組みと銀行経営に与える影響について~
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2009/02/03


○企業の資金調達環境は厳しさを増している。景気がかつてないスピードで落ち込む中、銀行の融資姿勢は慎重になってきており、直接金融市場も低迷している。ただ、企業の財務体質は過去の景気悪化時に比べかなり改善しており、こうした蓄積があるために厳しい資金調達環境の中でも企業の資金繰りは今のところ何とか持ちこたえている。


○しかし、今後も景気の悪化が続くため企業の資金繰りは一層タイトになっていく。こうしたときに銀行が貸し出しの抑制や回収を行わざるをえないような状況に陥っていると、健全な経営を行っている企業であっても事業継続のために必要な資金を調達できなくなる恐れがある。また、それが実体経済をさらに悪化させる事態が起きることも懸念される。


○2007年3月期決算以来銀行の自己資本比率を規制するバーゼルIIは、景気悪化局面では以前の規制以上に銀行が自己資本不足に陥りやすい仕組みになっている。つまり、銀行が自己資本比率維持のために貸し出し抑制に追い込まれかねない要素が内包されている。バーゼルII導入後、今回が初めての景気後退局面であり、こうした作用について細心の注意が必要である。


○厳しい信用収縮の発生を防ぐためには、大手行を含め銀行が自己資本の増強を大規模に行うことが必要になってくるだろう。すでに銀行による自力での資本調達の動きがでてきているが、公的資金の注入や信用保証協会の活用など、当面の信用収縮の深刻化を回避するためには様々な施策を総動員する必要がある。


○バーゼルIIは景気の振幅を上下両方向に拡大させる側面を持っている。銀行経営はそのことを十分に考慮に入れてなされるべきである。景気が悪化しても資本不足に陥ることがないだけの十分な自己資本を、銀行が平時から確保しておくことがポイントである。バーゼルIIに対応した銀行経営がきちんとなされることが、金融が実体経済を振り回すような事態を起こさせないための鍵になると考えられる。


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