チリ経済 ~ 南米随一の堅調さの背景 ~ 銅輸出と「新自由主義」経済政策を背景に安定成長を続けるチリ経済 ~
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2009/02/17


○今、中南米で国際金融界からの信認度が最も高い国は、ブラジルやメキシコといった大国ではなく、チリである。チリ経済の強みは、世界最大の銅埋蔵量を有する資源大国であることに加え、効率的で健全な経済構造を有している点にあると言える。


○チリの効率的で健全な経済構造は、新自由主義に基づく規制撤廃、財政健全化、民間部門拡大などの政策によってもたらされた。チリの新自由主義に基づく経済運営路線は、1970年代に始まり、その後、政権が替わっても基本軸がぶれずに継続している。これが、1980年代以降のチリ経済に高成長率と低インフレ率をもたらす主因となった。こうした経済運営は、ロシアなど他の新興国の経済運営にとっても示唆するところが大きいであろう。


○チリの経済運営の大きな特色のひとつに、貿易自由化の積極的な推進があげられる。チリの関税率は南米で最も低く、また、チリの貿易額に占めるFTA締結相手国向けの比率は、2007年には9割を超えており、ほぼ全世界との貿易自由化を実現している。


○チリは、グローバル競争で勝ち目のない製造業の保護育成を諦めている。最近、チリが注力しているのは、広域的な物流・サービス拠点としての外資企業の誘致であり、欧米の大企業が、中南米全域向けのサービス提供や事業統括の拠点としてチリを活用している。


○近年、主力輸出品である銅の価格急騰による交易条件改善がチリ経済を押し上げてきた。しかし、銅価格は、リーマンショック以降の投機資金の引き揚げによって、足元でピーク時の半分に下落している。銅以外の主要輸出産品のひとつが水産物であり、養殖鮭鱒の輸出でチリは世界第二位である。しかし、ISA(伝染性サケ貧血症)の流行で養殖中の鮭鱒が大量死したため、チリの鮭鱒養殖事業は、大きな試練に直面している。


○主力輸出産品である銅の価格下落、伝染病による養殖鮭鱒の大量死などにより、チリの輸出は今後落ち込むと予想される。また、インフレ率上昇で中銀は利上げを余儀なくされている。こうした要因が影響し、当面、チリの景気は減速が避けられないだろう。


○ただ、チリ経済のリーマンショックによるダメージは、欧米諸国ほどに深刻化する可能性は低いと見られる。チリの輸出構造が対米偏重ではなく、また、チリには、銅輸出収入を積み立てたSWFがあり、これを安全弁として使えば、経常収支悪化や急速なペソ安に直面した場合でも、マイナス影響を抑制することができるからである


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