メキシコ経済の現状と今後の課題 ~ 米経済悪化の直撃で景気後退へ。対米依存型経済構造は変わるのか? ~
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2009/06/24


○メキシコは、中南米でブラジルに次ぐ有力な新興経済大国である。メキシコ経済のこれまでの長期的推移を見ると、一時的な景気後退は何度かあったが、ブラジルやアルゼンチンのようにハイパーインフレーションで景気低迷が長期化したことはなく、中南米諸国の中では経済が比較的堅調であったと言ってよいだろう。


○NAFTA締結によってメキシコの対米輸出依存度が高まっており、また、在米メキシコ系移民からの送金がメキシコの中低所得層の個人消費に大きな影響を与えている。このため、メキシコ経済は米国景気に左右されやすくなっている。リーマンショック以降の米国景気悪化を受けて、メキシコの2009年1-3月期の経済成長率は前年同期比▲8.2%と大幅に落ち込んだ。さらに、2009年4月には、新型インフルエンザ感染拡大のため、旅行業、レストラン、小売業等のセクターが大きな打撃を受けた。このため、メキシコの2009年通年の経済成長率は▲5%前後と大幅なマイナス成長になる可能性が高いと見られる。


○メキシコ通貨ペソの為替相場は、リーマンショック直後に急落し、1994年末に発生したメキシコ通貨危機以来の大きな下げ幅となった。しかし、メキシコ当局は、米FRBと通貨スワップ協定を締結し、また、IMFから予防的信用枠供与を受けるなど、金融市場の動揺を防ぐ手段を既に講じている。このため、メキシコ金融市場が15年前と同様の混乱に陥るリスクは、現時点では低いと言える。


○メキシコ経済にとって対米輸出は生命線であるが、米国市場をめぐるアジアとの競争が厳しさを増している。メキシコは、薄型TVや自動車関連分野での競争力は強いが、それ以外のエレクトロニクス関連分野を見ると、アジア諸国に押され気味である。これは、メキシコの人件費がアジア諸国より高く、また、各種優遇措置(輸出企業への減免税等)もアジア諸国より劣っていることが原因と見られる。


○今後も、メキシコ経済の対米依存度の高さは変わらず、「メキシコ経済は米国経済次第」という状況が続くと見られる。このため、米国景気の低迷が続く限り、メキシコ経済の本格回復もないと言わざるを得ない。逆に、米国景気が回復局面に入った時には、メキシコ経済は、いちはやくその恩恵を受けて回復するだろう。


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