米国の資産価格の下落と個人消費 ~住宅価格の下落はなぜ個人消費の抑制要因なのか~
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2009/08/27


○米国経済は住宅価格が急上昇した後に大幅に下落する典型的な資産バブルを経験した。住宅は平均的な米国の家計が保有する資産の60%程度を占めており、住宅価格の下落にともない、家計が保有する住宅資産は4.1兆ドル(およそ400兆円)減少した。


○保有資産の減少にともない消費行動がどのように変化したかをみるために、米国の家計が保有する資産特性に注目すると、米国の資産は上位20%の高所得層に偏在しており、こうした人々を中心に、住宅価格の上昇局面では資産価値の上昇にともない債務を増大させる傾向が強まった。とりわけ高所得層では、投資目的のための住宅購入や、ホームエクイティローンを利用した自動車購入の動きが広がった。


○家計が保有する純資産が増大していたことは、貯蓄の必要性を低下させ消費拡大に寄与したとみられる。しかし資産が減少に転じたことで資産の増加に基づいた消費拡大が見込めない状況にある。


○足元では米国の住宅価格に下げ止まりの兆しもみられるが、住宅価格は2003年の水準に低迷しており、今なお多くの米国家計は保有資産が減少した状況にある。住宅の差し押さえ比率の高まりにより住宅市場のストック調整が長期化するおそれがあり、保有する住宅資産が購入時の価値を回復するまでには相当の時間がかかる見込みである。


○このため、保有資産の減少に直面した家計が、今後どのようなペースで消費を拡大させるかは所得に依存することになる。しかし今回の景気後退局面では、企業の期待成長率の低下を背景に雇用の調整圧力が強く、雇用者報酬はこれまでにないペースで減少しており、個人消費の回復テンポは非常に緩慢なペースにとどまることが予想される。


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