ロシア経済の現状と今後の課題 ~ リーマンショックによる景気後退から成長軌道に復帰できるのか? ~
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2009/09/18


○ロシア経済は、通貨危機(1998年)の後、10年間高成長を続けてきたが、リーマンショックの起きた2008年後半以降、急速な景気悪化に直面している。2009年通年の経済成長率は▲7%前後の大幅なマイナスとなる可能性が濃厚である。


○2008年前半までのロシアの景気拡大を支えた原動力は、原油高であった。原油高に伴う海外からの所得移転が内需拡大をもたらし、また、原油高によるルーブル為替相場上昇も消費の押し上げに貢献した。さらに、ロシア企業は、原油高を背景に海外市場から巨額の資金を調達し、これを様々な事業に投入してきた。


○しかし、リーマンショック発生後の原油価格急落で、ロシア経済は暗転した。原油価格急落により、貿易黒字は縮小し、また、急激なルーブル安が進み、消費者心理を悪化させ、個人消費を落ち込ませた。さらに、原油価格下落を受けてロシアからの急激かつ大規模な資本逃避が発生し、海外資金に依存していたロシア企業は、資金繰りが窮地に陥り危機的状況に直面した。こうしたことから、ロシアの消費・投資は大幅な後退を余儀なくされた。


○今回の世界金融危機は、原油価格依存型のロシア経済に、構造変換の必要性を改めて提起するものとなった。今後、ロシアは、外国からの直接投資導入促進により、生産性向上とともにエネルギー以外の分野での付加価値拡大を図る必要があろう。また、経済効率化のため、公共部門などの価格体系を市場経済と整合的なものに見直す必要があろう。さらに、資本ストックの劣化に対しても早めに手を打つ必要がある。この他にも、企業が海外資金に過度に依存するのを防ぐため、国内金融セクターの拡充が重要な課題となろう。


○今回の金融危機で大きな痛手を負った企業部門・金融部門の再建には時間がかかるため、ロシア経済が早期に高成長軌道へ復帰することは困難と見られる。経済構造の変換もすぐには実現できないため、今後も、ロシア経済の成長性に大きな影響を与えるのは、エネルギー価格であろう。中長期的に見て、ロシアは、原油の次には、世界一の埋蔵量を誇る天然ガスの輸出によって資源依存型経済成長を維持できる余地がある。今後、バイオ燃料や燃料電池などの再生可能エネルギーの普及が遅れ化石燃料価格が高水準を維持するようであれば、ロシア経済は成長を持続できるだろう。しかし、もし逆の事態が起こった場合、ロシア経済は低迷に陥り、BRICsの中での存在感も低下せざるを得ないだろう。


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