「悪い上昇」が懸念される日本の長期金利 ~財政赤字拡大と経常黒字縮小で強まる金利上昇リスク~
全文紹介

2009/09/24


○このところ景気は持ち直しに転じたもののデフレ懸念は依然として根強い。こうしたマクロ経済環境の中、長期金利は低水準ながらも過去の金利低下局面と比べるとあまり下がっていない。いわゆる「悪い金利上昇」が起きている可能性がある。


○13カ国のパネルデータを使って長期金利関数を推計すると、短期金利の上昇や名目経済成長率の拡大が金利を上昇させる要因になるほか、財政収支の悪化も金利上昇要因となることがわかる。また、経常黒字国と経常赤字国に分けて推計すると、財政収支の悪化がもたらす金利上昇圧力は経常黒字国で小さく、経常赤字国で大きいこともわかる。


○日本の財政は構造的な赤字体質となっているのに加え、大規模な経済対策実施の影響で財政赤字は大きく拡大する見込みである。また、経常収支の黒字幅は、交易条件の傾向的な悪化と世界経済の成長率鈍化の影響でかつてに比べ大きく縮小した状態がしばらく続くと予想される。財政赤字の拡大に経常収支の黒字幅縮小が加わって、日本の長期金利は「悪い上昇」のリスクが高まっていると考えられる。


○悪い金利上昇がもたらす支払利息の増加は、それ自体が財政収支を悪化させ金利の水準をさらに引き上げる要因となる。また、財政再建に向けた取り組みの効果を減殺することにもなる。赤字の累積で政府の金融負債残高が突出して多い日本は、長期金利上昇がもたらす悪影響が先進国の中で最も大きいと言える。険しい道であっても財政再建に向けた取り組みに早急に着手することが政府には強く求められる。


全文紹介 前のページへもどる

ページの先頭へ

1234567890