トルコ経済の現状と今後の課題 ~ 中東・北アフリカで最大級の有望新興国トルコの今後の成長性 ~
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2009/11/02


○今、BRICsに続く有望な新興経済大国のひとつとしてトルコが注目されている。人口規模の大きさと所得水準の高さから考えて、トルコは、中東・北アフリカ地域でも最大級の新興市場と言える。また、トルコは、2005年にEU加盟交渉を開始しており、欧州のニューフロンティアとしても注目されつつある。


○トルコ経済は、1970年代後半以降、たびたび経済・金融危機を経験したが、2001年の通貨危機後の構造改革により、ようやく経済基盤が安定化した。トルコ経済がこれまで何度も危機に陥った根本的原因は、財政赤字の慢性化が、弱い通貨、高インフレ、経常赤字、高金利などをもたらし、それが民間投資の阻害や投資家の信認喪失につながったことである。しかし、こうした積年の問題が、2001年の通貨危機以降、IMFの提案に基づく構造改革によって解消された。トルコ経済は、2002年には2001年の通貨危機の打撃から回復し、2003年から2007年までは平均で7%前後の高い経済成長率を維持した。


○リーマンショック発生後の2008年10-12月期には、トルコの経済成長率はマイナスに転落し、2009年1-3月期には、前年同期比▲14.3%という大幅なマイナスとなった。しかし、トルコ政府による景気対策の影響もあって個人消費の落ち込み幅が縮小したことなどから、景気は、2009年1-3月期で底を打ち回復に向かう兆候が見られる。


○トルコ経済のリスクファクターとして、まず、対外債務の多さがあげられる。対外債務返済負担が重いトルコは、経常収支赤字が拡大すると、為替相場に下落圧力がかかりやすい。また、輸出がEU向けに偏重していることや輸出品の付加価値が低いことなどが貿易面の懸念事項である。さらに、若年層の失業率が高いことも問題視されている。


○トルコのEU加盟交渉は、キプロス問題など政治外交面の難題があるため前途多難が予想される。ただ、EUに早期加盟できなくてもトルコにとって大きな痛手にはならないだろう。なぜなら、トルコが既にEU関税同盟によってEUとの自由貿易という大きなメリットを手中にしているからである。


○トルコ経済は、2010年には回復軌道に乗ると見られるが、欧州経済低迷が続けば、輸出主導の景気本格回復が遠のく可能性もある。しかし、中長期的に見れば、トルコは、EU加盟交渉を通じて投資環境がEU並みになることや、人口規模が大きく出生率も高いことなどから、高成長が期待される有望市場であることに疑いはないであろう。ただ、トルコ経済は、経常赤字が拡大しやすい体質ゆえに、投資家心理の急激な悪化や国際金融市場の混乱といった外部要因に対して脆弱である。この点には今後も注意が必要であろう。


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