返済猶予制度と中小企業金融の現状 ~返済猶予にとどまらない積極的な取り組みが金融機関に求められる~
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2009/11/04


○景気はこのところ持ち直しの動きが続いているが、中小企業の経営環境は依然として厳しい。こうした中、政府は今臨時国会で中小企業を対象にした返済猶予制度の法制化を目指す方針である。返済猶予制度は、もともとはリーマンショック後の金融市場の危機的な状況に対処するために検討されたという経緯がある。


○自動車を中心とした輸出型の大企業製造業は、07年までの景気回復をけん引した後に業況が急速に悪化したが、足元では持ち直しの動きが明確である。一方、内需への依存度が高い中小企業は、非製造業を中心に業況の低迷は長期的な傾向となっており、足元の回復の動きも鈍い。


○もっとも、中小企業の資金繰り自体は、依然として厳しい状況にあるものの、総じてみると足元では改善に向かっており、リーマンショック直後の状況とは異なっている。これまで政府が中小企業金融の円滑化を図るべく様々な施策を実施し、それが相応の成果をあげてきたことがその背景にある。


○返済猶予制度は、当初懸念された「民間の商取引に国が強権的に介入する」といったニュアンスはなく、概ね既存の中小企業金融円滑化策を拡充したものになる見込みである。このため、この制度の導入が中小企業金融に対してそれほど大きなインパクトを与えることはないと考えられる。


○返済猶予のみで中小企業の経営自体が抜本的に改善されるわけではない。金融機関は、返済猶予だけでなく、中小企業の経営改善に向けたコンサルティング機能を担う必要がある。かつてと異なり、現在は過度に厳しいルールは緩和され、金融機関が腰をすえて苦境にある中小企業の再生に取り組む余地が広がっている。返済猶予をいかに中小企業経営の改善へとつなげていくか、金融機関の力量が今後問われることになる。


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