雇用情勢の現状と課題 ~失業率を低下させるためには何が必要か~
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2009/11/17


○2008年秋以降、世界的な金融危機の影響が実体経済に及び、非正規労働者を中心に雇用調整が急速に行われた。失業率は、2009年から急上昇し、7月にはそれまでの過去最悪の水準だった5.5%を上回って5.7%まで上昇し、その後も高水準にとどまっている。


○昨年末以降、雇用調整は行われているものの、大幅な需要の減少に直面した企業の雇用過剰感は依然として強い。一定の仮定の下で試算した雇用ギャップ(注)は雇用者のおよそ9.2%(約500万人)に相当する。雇用過剰感を抱える企業が行き過ぎた雇用調整を行うと雇用の減少を通じて最終需要が減少し、それによりいっそうの雇用調整が必要となる。その影響を試算すると、最終的な雇用調整の規模は当初の雇用調整の1.2倍にまで拡大する可能性がある。


○企業が雇用調整を行う中、新卒採用は大幅に削減される見込みであり、若年層の雇用環境の本格的な悪化はむしろこれからである。フリーターは2009年には増加に転じた可能性が高く、足元の就職環境を勘案すると2010年にはさらに増加すると予想される。かつて、若年層の失業やフリーター、ニートの増加が社会問題となったが、そうした現象が再び生じ、第二の就職氷河期世代が誕生する可能性がある。


○今後、景気は回復するものの、そのペースは緩やかにとどまると見込まれる中、失業率はしばらくの間、高止まる可能性が高い。そのような中でそれでも失業率を低下させていくためには、失業者の雇用可能性を高める「積極的労働市場政策」を推進し、職業訓練などを通じて、医療・福祉分野など労働需要のある分野への就労を促進して雇用のミスマッチを縮小していくことが必要である。また、中長期的な観点からは雇用の拡大につながる持続的な経済成長を実現するための戦略の策定を通じて、企業の期待成長率を高めることが重要である。


(注)ここでいう雇用ギャップとは、実際の雇用水準と企業の雇用過剰感がなくなる雇用水準との差である。


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