悪化する日本の財政 ~財政健全化に向けて不可欠な歳出の抑制~
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2010/03/31


○2008年秋以降、景気が急速に悪化した中で大規模な財政政策がとられたため、日本の財政収支の悪化が加速した。出口戦略を実行するタイミングについては慎重に検討する必要があるが、いつまでも拡張的な財政政策をとり続けることは不可能であり、今後は、財政健全化に向けた取り組みは不可欠である。


○日本では1990年代以降、社会保障関係費を中心に歳出の増加が続いており、今後も高齢化の進展を背景に歳出は増加が続くと見込まれる。一方、歳入は1990年代前半にGDP比で大きく低下した後はおおむね横ばいで推移している。OECDの推計によれば日本の財政赤字の大部分は構造的なものであり、景気が回復しても財政収支の改善は期待しにくい。現在の税収構造を前提に、政府が目指す名目3%成長率を2012年度以降達成できた場合の歳入のGDP比を試算すると、足もとの水準からは上昇するが、それでも足もとの歳出のGDP比とのギャップを大幅に縮小させることは困難であると見込まれる。


○厳しい財政運営の下、政府の方針はまずは歳出のムダを削減することであり、消費税率は2013年度までは引き上げないとしている。そのような中で財政健全化に向けた取り組みを行うには、ムダの削減だけではなく歳出総額の伸びをいかに抑制するかが重要であると考える。この点に関しては、1990年代に財政健全化に向けた取り組みを行ったオランダやスウェーデンのように、歳出総額をある程度の拘束力をもってコントロールする枠組みが有効であると考えられる。


○政府は2011年度から2013年度までの3年間の歳入・歳出の骨格を示す「中期財政フレーム」と中長期的な財政健全化の道筋を示す「財政運営戦略」を今年6月を目途に策定することとしている。政策的な経費については、財源の裏づけがない歳出の増加を認めないという方針を拘束力のある形で導入することなどが検討されているようであり、こうした仕組みが財政健全化の観点から後退することなく最終的に盛り込まれて、実行に移されることが必要である。もっとも当面は財政健全化に向けて歳出の伸びを抑制するとしても、長期的には歳入を増加させるために消費税率の引き上げは不可避だろう。


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