インド経済の現状と今後の展望 ~ なぜリーマンショックで沈まなかったのか? ~
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2010/05/18


○リーマンショックの余波で多くの新興国が景気後退に見舞われる中、インド経済の堅調さが注目を集めている。インドの経済成長率は、2003年から2008年まで6年連続で7%を上回る好調を続け、リーマンショック直後(2009年1-3月期)に一時的に5%台へ低下したものの、その後は再び上昇に転じている。


○インド経済は、東アジアのような輸出依存型成長ではなく、また、一部の新興国のように投機的資金流入による不動産バブルが景気を押し上げるパターンでもない、内需主導型の堅実な成長路線を歩んでいる。すなわち、国内消費の盛り上がりを背景に、海外からの直接投資等の流入に支えられて実体経済部門が拡大するという成長パターンである。こうした経済成長パターンであるがゆえに、インドは、リーマンショック後の海外景気の後退や世界的な投機的資金の縮小といった要因にあまり影響されなかったと考えられる。


○インドの国内消費市場は急拡大しつつあるが、インドの所得水準の低さを考えると、日本企業が従来得意としてきた高機能商品によって市場シェアを獲得するのは当面難しいと見られる。インド市場の攻略には、「インド仕様」の非常にシンプルかつ低価格な商品の開発・投入が必要とされよう。


○日本企業の対インド投資は、近年、医薬品事業や携帯電話事業での大型投資案件の影響もあって急増し、対中国投資を上回る勢いを見せている。また、従来、自動車関連が中心であった日本企業の対インド投資も、今後さまざまな分野へと多角化する兆候が見られる。ただ、今後もインドへの直接投資が拡大するかどうかは、貧弱なインフラの整備進捗状況が大きな鍵を握っている。


○今後、インドは、経済成長とそれによる経済格差の拡大との間で大きなジレンマに直面する可能性がある。貧富の格差が拡大すれば、貧困層の不満が高まり、選挙を通じて、成長よりも所得分配を重視する政権が選択されよう。こうしたことを考慮すると、インド経済は、中国並みの10%超の高成長率を続けるよりも、むしろ、中長期的には6~8%程度のやや緩やかな成長率で推移する可能性が高いと言えよう。


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