ロシア経済の現状と今後の展望 ~ 高成長への復帰は可能か? ~

2010/08/27


○リーマンショック後のロシアは、新興経済国の中でも最大級の景気後退に陥った。ロシアの2009年の経済成長率は▲7.9%と、ロシア通貨危機当時(▲5.3%;1998年)をも上回る大幅なマイナス成長となった。リーマンショックは、企業部門に大きなダメージを与え、工業生産と投資は急激に落ち込んだ。また、リーマンショックによって、急速に拡大していたロシアの消費市場も深刻な打撃を受け、ロシアの2009年の自動車販売台数は、2008年の半分にまで縮小した。


○リーマンショック以前のロシア経済の高成長は、経常収支、資本収支、財政収支のいずれも巨額の黒字という「トリプル黒字」状態によって支えられていた。しかし、リーマンショック直後の原油価格暴落で、経常黒字は大幅に縮小、資本収支は海外資金の逃避により巨額の赤字に陥った。また、原油価格暴落によってロシア政府の歳入も減少、他方、景気対策のための財政支出増加を余儀なくされたため、財政収支は一気に大幅赤字へと転落した。


○金融セクターも、リーマンショックで成長が頓挫してしまった。ロシアでは、リーマンショック以降、銀行貸出残高の横這い状態が解消されず、停滞が長引いている。ただ、金融の中核である大手銀行の財務内容が比較的健全なこともあり、金融システムが破綻するような状況ではない。


○2010年4-6月期の成長率は速報ベースで前年同期比5.2%と、景気が再び拡大に向かう兆しが見えている。原油価格は2009年初頭をボトムに反発し、足元でリーマンショック直後の2倍程度まで回復している。この原油価格上昇に伴う貿易黒字拡大が、ロシア経済の足元の立ち直りを支えているものと見られる。


○ロシアの2010~2011年の経済成長率は4%程度にとどまると予想され、原油価格の急騰でもない限り、リーマンショック前のような高成長には復帰できないと見られる。ロシアが中長期的に再び高成長軌道に回帰できるかどうかは、原油頼みの経済構造を変革できるかどうかにかかっている。今後のロシアにとって、投資環境を整えて外国からの直接投資を引き寄せ、それを梃子にして経済の体質改善を進めることが大きな課題と言える。


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