高齢化の進展と個人消費 ~高齢化による個人消費の減少をいかにして回避するか~
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2010/09/29


○消費支出の長期的な動向を勤労者世帯と高齢無職世帯にわけてみると、30~50歳代の勤労者世帯の消費支出は、2000年ごろをピークとして低下傾向にある。デフレの進展や少子化による世帯人員の減少といった構造的な要因による影響を除いてもこの傾向は変わらない。他方、60歳以上の勤労者世帯や高齢無職世帯は、所得が伸び悩む中でも消費支出水準を維持しており、これらの世帯の消費支出は他の勤労者世帯と比較すると底堅いと言える。


○今後、高齢化が進展し、世帯数が減少へと転じていく中で、消費支出の金額が相対的に大きな世帯の数が減少する一方、相対的に小さな高齢者世帯の数が増加すると予想される。このため、消費支出総額は2020年まで年率で0.2~0.3%と緩やかに減少していくと試算される。近年では、厚生年金支給開始年齢の引き上げに合わせた高齢者雇用の機会確保のための措置として、継続雇用制度の導入などが行われており、こうした動きが60~64歳世帯を中心に消費支出の増加をもたらし、消費支出総額を押し上げる可能性はある。しかし、高齢者世帯の就労促進にも限界があることから、高齢者雇用機会の拡大だけでは、消費支出総額の減少トレンドの方向性を大きく変えることは困難であろう。


○しかしながら、高齢化要因による消費支出総額の減少の程度はそれほど大きくないことから、高齢者世帯の消費を刺激することで、減少を食い止めることは可能であると試算される。具体的には、65歳以上世帯のうち二人以上世帯では毎年1400円程度、単身世帯では同1000円程度ずつ、消費支出を増やしていけば高齢化要因を打ち消せるのである。このため、高齢者のニーズを消費支出へと結びつける商品やサービスを供給することができるかどうかが消費のパイの縮小を回避する鍵となろう。


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