信用供与の安定化を目指すバーゼルIII ~バーゼルIIIの導入は日本の金融が再評価されるよいきっかけに~
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2010/10/22


○リーマンショックをきっかけに、欧米を中心に金融市場が大混乱に陥り、世界的な経済危機へと発展した。こうした事態を受け、主要国の銀行監督当局でつくるバーゼル委員会において、金融危機の再発を防ぐべく国際的な新しい金融規制(バーゼルIII)の策定に向けた作業が急ピッチで進んでいる。今年9月に規制の具体的な水準や新しい規制への移行期間などが概ね確定し、同年11月にソウルで開かれるG20で規制内容について各国首脳による最終合意がなされる見通しだ。


○バーゼルIIIによる規制は広範かつ細部にわたるが、規制の大枠は4つに整理できる。すなわち、(1)自己資本の質の強化、(2)レバレッジ比率規制の導入、(3)資本バッファーの活用、(4)流動性規制の導入、である。銀行の資本政策や投融資活動に一定の制限を加えることで、銀行による信用供与を景気の状態に関わらず安定させることを目指しており、銀行経営に与える影響は大きい。


○日本では、リーマンショック後、中小企業金融円滑化法やそれに先立つルール変更などにより、金融行政や銀行の融資姿勢はすでに「安定重視」へと大きく舵を切っている。企業金融の状況を、銀行破綻が相次ぐなど金融市場が危機的状況に陥った1997年終わりからと比較すると、リーマンショック以後の銀行の融資行動が実体経済のかつてない落ち込みにも関わらず安定していたことがよくわかる。


○金融が信用膨張と収縮を通じて実体経済の振れを大きくすることは、雇用の安定を損ない健全な市民生活への脅威となる。バーゼルIIIが目指す信用供与の安定化は、間接金融を中心とする本来の日本の金融のあり方が再評価されるよいきっかけとなる可能性があるが、大きな課題もある。金融が安定しても企業の活力が損なわれてしまっては元も子もない。銀行が、コンサルティング機能の発揮など貸出先企業の経営力改善に向けた取り組みを強化していくことが、安定重視の金融を実のあるものにすることになる。


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