ポーランド経済の現状と今後の展望 ~ EUで唯一のプラス成長(2009年)だったのはなぜか? ~
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2010/10/28


○ポーランドは、リーマンショック後の不況に苦しむEU域内で唯一、2009年の経済成長率がプラスとなった。この最大の原因は、ポーランドの輸出依存度が周辺国ほど高くなかったため輸出減によるダメージが少なかったことである。また、為替相場下落で国内産業の競争力が高まったことや、既に予定されていた減税が2008年度以降実施に移されたことも、ポーランドの景気底割れを防ぐのに貢献したものと見られる。


○ポーランドの輸出依存度が周辺諸国より低い理由は、経済規模が比較的大きいためと考えられる。ポーランドは人口が約4千万人と東欧で最大であり、国内市場規模がかなり大きい。このため、産業構造が輸出一辺倒にはならず、むしろ飲料・食品などの内需型産業が大きなウェイトを占めているのである。


○リーマンショック発生後、東欧地域では、ラトビアなどの国々が深刻な金融危機に陥り、IMFに緊急支援を要請した。ラトビアが金融危機に陥った原因は、ユーロ導入のためERMⅡのもとで硬直的な為替相場を採用していたことにある。つまり、為替リスクがないので大量の海外資金が不動産部門などに流入してバブルが発生し、また、バブル崩壊後には、為替相場を切下げて景気を調節することができなかったのである。一方、ポーランドは、変動為替相場制を維持していたため、ラトビアのような金融危機に遭わずに済んだ。


○ポーランド経済を押し上げてきた輸出拡大の原動力は、多額のFDI流入であった。ポーランドの一人当たり累積FDI金額は、チェコやハンガリーなどと比べてまだ少ない。そのため、今後も、FDI流入額が増加し、それによって、ポーランド経済がさらに押し上げられる余地は十分ありそうだ。海外からのFDIを引き寄せるキーポイントのひとつは、インフラの充実度である。ポーランドの弱点は、高速道路などの輸送インフラが周辺国より見劣りすることであり、今後、幹線高速道路を早急に整備することが喫緊の課題である。


○スペインやギリシャなどの南欧諸国は、ユーロ導入によって、「強い通貨」と「低金利」という大きなメリットを手に入れたが、それが、バブルを生む遠因となった。そのバブルがリーマンショックによって崩壊したことが今般の南欧諸国における深刻な景気後退と金融危機をもたらした。こうした点を考えると、ポーランドも、将来的には、「ユーロ導入バブル」に対する警戒が必要であろう。


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