社会保障給付費の現状と見通し ~国際比較を通じて見えてくる現在の課題~
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2011/03/31


○日本では高齢化の進展とともに年金、医療、介護といった社会保障給付費の増加が続いている。しかし国際的にみると、日本の社会保障向け支出のGDP比の水準はまだ低い。ただし、そのうち高齢者向け支出については低いとは言えず、高齢化の進展を考慮すればOECD加盟国の平均的な水準をやや下回る程度である。


○社会保障給付費の財源については、増加する給付額に対応して社会保険料は引き上げられているものの、賃金が低迷していることなどから保険料収入の総額は伸び悩んでいる。このため、社会保障給付費の財源における公的負担(税負担)の役割は増している。


○そのような中で、国民負担(社会保障負担と租税負担)の推移をみると、1990年代以降は社会保障負担が増す一方で租税負担は減少傾向で推移したことから、国民負担のGDP比は全体としては高まっている状況とは言えない。国際的には、日本の国民負担の水準は社会保障関連支出の水準との関係でみると低いと言える。


○今後、現状の社会保障制度(マクロ経済スライドは考慮せず)の下で高齢化が進展した場合、社会保障給付費がどの程度増加するかについて試算した。その結果によると、2010年度と比較して2020年度には10兆円(2008年度価格)増加すると見込まれる。給付に対する保険料収入と公的負担の費用負担割合が今後も維持されると仮定すれば、公的負担は2020年度には4.8兆円(保険料収入は5.2兆円)増加している必要がある。国の消費税収(地方交付税の財源分を除く)は、社会保障分野に充てられることになっているが、現在の税額はその対象分野の合計よりも10兆円程度少ない。こうした「隙間」を埋めるための公的負担も合わせると、追加的な公的負担の合計は2020年度時点で14.8兆円(消費税率換算で6%程度)に上ると考えられる。


○政府は、税と社会保障の一体改革について検討を行っており、その中で、消費税率が引き上げられることも考えられる。そうした場合、国民の総意を得るためには増税分がどのように使われるのか、明らかにされるべきである。


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