ミャンマー経済の現状と今後の展望 ~ 開発ポテンシャルに富むアジアのラストフロンティア ~
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2011/05/18


○中国、タイ、ベトナム等で労働市場が逼迫し人件費が上昇する中、日本企業は、新たな低コスト生産拠点の開拓を迫られている。そこで注目されるのが、東アジアに唯一残されたフロンティアのミャンマーである。


○現時点でのミャンマーへの日本企業進出は極端に少ない。これは、ミャンマーの軍事政権による民主化抑圧に対する日米欧の経済制裁が、貿易・投資活動の障害になっているためである。日米欧が対ミャンマー制裁を続ける中、近年、中国のミャンマーでの存在感が高まっている。中国のミャンマー進出の狙いは、自国の経済発展に必要なエネルギーや各種資源の確保、さらにはインド洋への出口の確保にあると見られる。


○ミャンマーは、26年間も鎖国のようなビルマ式社会主義を続け、また、1988年の市場経済復帰後は、民主化抑圧を理由に国際社会からの経済制裁を受けた。このため、ミャンマーは、近隣諸国のように、ODAや直接投資を受け入れ輸出を梃子に経済成長を遂げるという発展の機会を逸してしまった。


○経済開発の遅滞により、ミャンマーの生活水準はアジアでも最低レベルにとどまっている。しかし、その裏返しとして人件費が安いため、労働集約型産業の生産拠点として注目され、例えば、ミャンマーからの対日アパレル輸出が近年急増している。ただ、今後、生産拠点として本格的に発展するには、国際社会との関係を修復し、ODAを利用して劣悪なインフラを改善し、輸出環境を整えるなどの取り組みが不可欠であろう。


○2000年以降、タイ向けの天然ガス輸出が急拡大したため、ミャンマー経済は押上げられ、外貨繰りは大きく好転した。しかし、天然ガス輸出で稼いだ外貨が民間部門に回らないため、二重為替相場制のもとで、民間部門が実勢為替相場の下落に苦しむという経済の歪みが顕在化している。


○ミャンマーでは、2010年の総選挙で、軍事政権側が大勝し、反政府民主派は議会から殆ど排除されてしまった。米英を中心に、この総選挙が不公正であったとの不満は強く、選挙結果を受けて直ちにミャンマー政府と国際社会との関係改善が急速に進展する状況にはない。このため、ミャンマーへの経済支援や投資が本格化するのは、すぐには困難と言わざるをえない。ミャンマーが新たな投資フロンティアとして本格的にテイクオフするまでには、まだ時間がかかりそうである。


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