電力不足をどう乗り越えるのか ~節電もエネルギー政策も、私たち一人ひとりの課題~
全文紹介

2011/07/08


○日本経済は電力への依存度を徐々に高めてきている。背景には素材業種から加工業種へと産業構造がシフトしてきたことや経済のサービス化が進んできたことなどがあるが、電気料金の安定もひとつの要因になった可能性がある。電力はあまりコストを意識することなく自由に利用できるエネルギーとなり、その結果として、企業や家計の節電意識は薄れていくことになったといえる。


○震災の影響で多くの原子力発電所が稼動を停止し、電気の供給力が大きく低下している。東日本を中心に、何も対策を講じなければこの夏には電力需要が供給力を上回る可能性が高まっているが、企業や家庭の節電努力や工夫により、生産活動を大きく抑制することなく電力需要を減らすことはできるだろう。実際、足元の電力需要をみると昨年に比べてかなり削減されており、節電の効果がはっきりと現れている。


○企業や家庭の節電努力で急場は凌ぐことはできても、中長期的な課題は残ることになる。これまで原子力が国のエネルギー政策や電力会社の供給計画の根幹だったが、全国的な広がりをみせつつある電力不足が原子力発電所の稼動停止によるものである以上、原子力をエネルギー政策や電力供給政策の中でどう位置づけるのか、私たちはあらためて考える必要がある。


○今後どのようなエネルギー政策を採るにせよ、電気料金が相当程度上昇するのは避けられそうにない。その場合、生産額に占める電力投入割合が高く、韓国や台湾などとの競争が激しい電炉や半導体メーカーの競争力への影響が大きそうである。また、電気料金の上昇をなるべく抑えるためには、電力事業のいっそうの自由化も検討課題になる。


○現在様々なレベルで行われている節電への取り組みは、今後の電力需給のあり方やエネルギー政策について考えていく上で、大いに参考になる社会実験だともいえるだろう。こうした問題はこれまで私たちの生活には縁遠い存在だったが、実際は日常生活に直接関わる事柄である。私たち一人ひとりのこととして、この課題に対する答えを見つけ出していく必要がある。


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