インドネシア経済の現状と今後の展望 ~ 復活する東南アジア最大の新興国 ~
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2011/08/19


○リーマンショック後のインドネシア経済の堅調さに世界が注目している。リーマンショックの翌年(2009年)、ロシア、トルコ、メキシコなどの主要な新興国は、経済成長率が軒並み大幅マイナスに転落した。これとは対照的に、インドネシアでは、4%台の経済成長率を確保し、中国、インドとともに景気が堅調に推移した。


○インドネシア経済がリーマンショック後にマイナス成長へ転落しなかった最大の理由は、輸出依存度が低かったからである。それは、裏返せば、インドネシアが、周辺諸国に比べて輸出向け製造拠点としての魅力に乏しかったため、輸出型外資企業進出があまり進まず、輸出が拡大していなかったということでもある。


○近年のインドネシアの経済成長の主な牽引役は個人消費の拡大である。個人消費を押上げている大きな要因として、ルピア為替相場の安定と、それを背景とするインフレ率および金利の低位安定があげられる。また、最近のコモディティーブームにより、石炭やパームオイルの輸出が増加し、こうした一次産品を産出するスマトラやカリマンタン等の地域で雇用者所得が上昇したことも個人消費押上げに寄与したと見られる。


○ルピア為替相場安定の底流には、ユドヨノ政権下での政治社会情勢安定により投資家のインドネシアへの信認が回復していることがあげられる。近年、インドネシアへの資本流入は急拡大しており、特に、債券投資が急増している。インドネシアのソブリン格付けが2011年中には投資適格にまで上昇するとの観測も市場で強まっており、これを背景とする資本流入に支えられたルピア為替相場安定は当面続きそうである。


○日本をはじめとする外資企業のインドネシアへの関心は再び高まりつつある。事業展開先としてのインドネシアの最大の魅力は、世界第四位の人口(2.4億人)を背景に、消費市場として大きなポテンシャルを有する点にある。ただ、輸出向け生産拠点としてのインドネシアは、インフラの不備などから周辺諸国よりも見劣りがする。今後、労働者の教育訓練やインフラ整備などの投資環境整備に注力しなければ、輸出向け製造業がインドネシアを避けて周辺諸国に集まってしまう懸念がある。そうなれば、インドネシアでの雇用創出機会が失われ、失業や低所得といった問題が広がることにもなりかねない。内需主導で景気拡大しているとは言え、輸出向け製造業の誘致もインドネシアにとって重要課題であることを忘れてはいけないであろう。


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