マレーシア経済の現状と今後の展望 ~ 「中進国のわな」から脱却できるのか? ~
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2011/09/28


○マレーシアは、輸出立国型の経済発展モデルで大きな成功を収め、ASEANの「勝ち組」となった。マレーシアは東南アジアにおける家電・エレクトロニクスの一大輸出拠点であり、近年では、東南アジアから中国へ電子部品を供給するサプライチェーンにおける中核的な存在にもなっている。


○しかし、経済の輸出依存度が高くなった結果、マレーシア経済は、リーマンショック後の世界的な景気後退による輸出需要急減で大打撃を受けた。ただ、リーマンショックによる景気後退は、1年程度と比較的短期間にとどまった。景気が早期に立ち直った背景として、マレーシアの金融部門が健全であったことも見逃せない。


○マレーシアの経済水準は先進国レベルに近づきつつあり、従来型の工業製品輸出主導の成長は早晩持続できなくなるであろう。今後は、産業の高度化が課題であり、そのために構造改革も必要である。例えば、マレーシアの経済政策の根幹をなす(マレー系住民優遇の)ブミプトラ政策は、近年、頭脳流出問題を引き起こしている可能性も指摘されており、見直しが必要な局面に来ていると言えそうだ。


○マレーシアは、大国ではないため、他国と同じ産業でなく独自のビジネス分野を持たないと世界経済の中での存在感が低下しかねない。マレーシアの強みが活かせる有望分野のひとつと注目されているのが、イスラム金融やハラル食品などのイスラム関連ビジネスである。特に、マレーシアのイスラム金融は中東諸国より先行しており、イスラム世界の中での存在感はかなり大きい。例えば、シャリーア(イスラム法)に則って発行されるスクーク債の発行額では、中東諸国を遥かに凌駕しており、2001年以降、世界で発行されたスクーク債の半分がマレーシアで起債されている。


○他の新興国と比べたマレーシアの強みは、政治・社会情勢が安定しており、ビジネス環境が良好なことである。マレーシアの為替政策は慎重、金融政策は堅実であり、経済運営に安定感・信頼感がある。こうした長所を活かしつつ、産業の高度化・多角化を進めることが今後の成長戦略の要諦と言えそうだ。


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