日本の財政収支の中期的な見通し
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2011/09/30


○政府の社会保障・税一体改革成案では、消費税を2010年代半ばまでに段階的に10%に引き上げるとされているが、それと同時に社会保障の機能の強化も行われることになっている。社会保障の機能の強化とは、社会保障の充実と同時に、効率化・重点化を行うこととされているが、それにより2015年度時点で2.7兆円程度の追加的な費用が必要になると試算されている。


○消費税率が2010年代半ばまでに5%引き上げられたとしても、社会保障の機能の強化などにより支出が増加することから、5%分のすべてが財政赤字の削減に充てられるわけではない。5%の引き上げのうち、社会保障の機能の充実に1%分が、さらには消費税率の引き上げに伴う社会保障関係費の消費税支払の増分に1%分が充てられる。2015年度時点で、3%分が赤字削減に寄与するとすれば、2010年度比赤字幅の半減という目標(「財政運営戦略」)の達成のためには、さらに8兆円程度の赤字削減が必要となる。


○政府は、「財政運営戦略」において、2020年度に国と地方の基礎的財政収支を黒字化させる目標をもっている。消費税率が2010年代半ばまでに10%に引き上げられることを前提に、2020年度の基礎的財政収支がどうなるかを試算した。試算にあたってはいくつかの前提をおいており、それに左右される部分はあるものの、歳出をかなり抑制し、さらには名目GDP成長率が2016年度以降は平均で3%で推移したとしても、2020年度の基礎的財政収支は赤字のままである可能性が高いと見込まれる。


○今後、名目GDP成長率が高まったとしても、財政健全化目標の達成に向けて、歳出削減、歳入の強化が不可欠である。特に歳入の強化にあたっては、社会保険料控除の拡大にともなう課税ベースの縮小を背景に所得税が伸び悩む可能性がある中で、所得税における累進課税の強化や諸控除の見直しや、負担の公平性や社会保障の安定的な財源という観点から消費税率のさらなる引き上げが不可欠であると考えられる。


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