アルゼンチン経済の現状と今後の展望 ~ 南米随一の高成長に死角はないのか? ~
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2012/03/16


○南米第2の新興経済国アルゼンチンは、2003年以降、8年連続のプラス成長を続けている。アルゼンチン経済がこれほど長期間のプラス成長を持続するのは、40年ぶりである。経済成長率の押し上げに最も寄与したのは、個人消費の拡大である。近年、アルゼンチンでは20%を超える高い賃上げ率が続いており、これが好調な個人消費をもたらす大きな要因になったと見られる。


○アルゼンチンは、中東北アフリカや中南米の新興国向けの一次産品輸出によって多額の貿易黒字を稼いでおり、これが、景気拡大、財政の安定、対外流動性増加をもたらし、アルゼンチン経済の好調を支えている。輸出の中でも、農産物価格高騰による大豆など穀物類の増加が顕著である。


○アルゼンチンの現政権の財政運営は、財政規律重視ではなくバラマキ型である。それでもプライマリーバランスが黒字なのは、大豆輸出課徴金の増収などによる歳入増のためと見られる。


○アルゼンチン経済の懸念のひとつは、インフレ率である。2010年の公式発表ベースのCPI上昇率は10.8%であったが、生活実感としてのインフレ率は20~30%と認識されており、政府発表インフレ率の妥当性に対する疑問が浮上している。また、当局が工業製品の輸出競争力を支える目的で通貨安に誘導していることも、インフレ・リスク要因となっている。インフレ加速は、ペソ売りをエスカレートさせる恐れがある。


○穀物輸出がアルゼンチン経済の成長・安定を支える構図は、当面続く可能性が高いと考えられる。ただ、異常気象等により穀物生産が減少し貿易赤字に陥った場合、ペソ売り圧力が急速に強まって、経済危機につながるリスクもある。一方、アルゼンチンでは、国民が新自由主義に反対しているため、政府が持続不可能なポピュリズムを脱却して市場メカニズム重視の堅実な経済運営に移行するシナリオが見えていない。これも、今後のアルゼンチン経済にとって大きなリスクファクターのひとつである。


○アルゼンチンは、パリクラブ債務問題のため、国際金融市場からの資金調達が事実上不可能になっている。アルゼンチン政府は、円滑な金融活動により経済成長・発展を図るためにも、この問題を早急に解消し、速やかに国際金融界に復帰する必要がある。


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