団塊世代の高齢化が及ぼす影響 ~改正高年齢者雇用安定法に着目して~
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2012/06/14


○過去には、「2007年問題」が注目を集めていたが、高年齢者雇用安定法の改正を受けて定年延長などの措置が採られたことで団塊世代の一斉退職は避けられた。2010年時点において、改正高齢法によって60~64歳の就業者数は約47万人押上げられたとみられる。


○高齢者の雇用が確保された一方で、若年層の就業機会が奪われてしまっていた可能性があるが、労働市場における団塊世代の影響力が徐々に小さくなっている中で改正高齢法の効果も一巡するとみられ、今後は若年雇用の改善が期待される。全体でみた労働力人口や就業者数は少子高齢化の進行に沿った形での緩やかな減少が続く見込みである。


○2010年の雇用者全体の平均年収は380万円と、2005年と比べて5.7%減少した。このうち、団塊世代の高齢化や改正高齢法の影響を背景に、年収が減少する60~64歳の雇用者の割合が高まったことによる押下げ寄与は-0.78%ポイント程度だったとみられる。


○一方、高齢者の就業促進を受けて、無職者を含めた60~64歳全体の平均所得収入は1人あたり年間17万円程度増加した。改正高齢法により就労年数が3年延びたと仮定すると、団塊世代全体でみた改正高齢法による所得収入の押上げ効果は3.4兆円と推計できる。一方、企業にとっては団塊世代の退職が緩やかにしか進まなかったことで、それに伴う企業の人件費削減効果は縮小した。


○消費については、改正高齢法の直接的な効果はそれほど大きくなかった。一方、定年年齢に達した際にいったん退職金を貰って退職した後に再雇用されている高齢者は多く、労働市場から退出した団塊世代に限ってみても、2006年から2010年の5年間で受け取った退職金は総額25.7兆円に上ると推計される。


○退職金の大部分は住宅ローンの返済や貯蓄に回った可能性が高いが、一部は高齢者消費の拡大に寄与したとみられ、同期間で60~64歳の消費支出を総額3.5兆円程度押上げていたと推計できる。今後は団塊世代を含め高齢者の本格的な退職が進むことで、これまで蓄えた賃金や退職金を使い始める可能性もあり、堅調な高齢者消費が国内消費をけん引していくことが期待される。


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