ウクライナ経済の現状と今後の展望 ~ 東欧最大の新興国へ飛躍できるか? ~
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2012/07/23


○ウクライナは、東欧でロシアに次ぐ大国である。しかし、市場経済移行の遅れ等により、1990年代の経済は不振が続いた。2000年以降、ウクライナ経済は漸く拡大局面を迎えたが、リーマンショックで大幅な景気後退と国際収支の流動性危機に陥り、IMF特別融資要請という事態にまで追い込まれた。


○ウクライナでは、2000年以降リーマンショックまで、為替相場のデファクト・ドルペッグ(事実上の対ドル固定)のもとで、外貨建てローン借入れが拡大し、また、投機的資金も大量に流入して、バブルが引き起こされていた。このバブルが、リーマンショックによる資本流出と通貨下落で崩壊した。


○ウクライナの生産や消費などのマクロ経済指標は2010年以降、前年同月比プラス成長となっているが、リーマンショック前のような高い伸びではない。インフレ率は、足元で落ち着いているが、インフレターゲットを導入しておらず金融政策面でのインフレ圧力調整手段がないため、今後の動きには要注意である。


○ウクライナの貿易構造は、輸出入ともにロシアへの依存度が高い。最大の輸出品目は鉄鋼であり、主に近隣諸国や中東地域での建設需要向けである。ウクライナの鉄鋼業は、旧ソ連時代の工業基盤を利用したもので、国内に製鉄原料を産出する強みがあるものの、設備の老朽化や製品付加価値の低さが弱点である。


○現在のウクライナ経済の大きなリスクファクターはIMF特別融資のゆくえである。IMF特別融資供与は、ウクライナ側が融資条件を満たしていないため中断している。もし、IMF特別融資が再開されなければ、今後、ウクライナ政府は、外貨建て既発債償還のための外貨繰りに支障を来たす可能性もある。


○ウクライナ経済の中長期的な発展にとって大きな問題と考えられているのが、政府部門の非効率性や汚職の蔓延といった投資環境の悪さである。投資環境の悪さは、内外企業のウクライナにおける投資拡大を妨げ、結果として資本ストック形成を阻害する恐れがある。


○消費市場としてのウクライナの潜在力は大きい。例えば、乗用車の保有率は西欧諸国より大幅に低く、今後の伸びしろが非常に大きい。ウクライナは、経済運営面で改善すべき課題は多いが、消費市場としての大きなポテンシャルを見据えて中長期的視点で対応すべき国であると言えよう。


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