ロシア経済の現状と今後の展望~ ロシアは「低成長国」になってしまうのか? ~
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2012/10/30
調査部 堀江 正人


○ロシア経済は、リーマンショック後の2009年に大幅なマイナス成長に陥ったが、2010年には再びプラス成長に戻った。ロシア国内の自動車や家電製品などの市場も、2012年末までには、リーマンショック前の規模にほぼ回復するものと見られている。しかし、足元の経済成長率は4%程度にとどまっており、リーマンショック前に比べて大幅に低下している。


○ロシア経済の足元の回復傾向を底流で支えている要因は、原油価格の再上昇である。原油価格は、2009年初頭をボトムに反発に転じ、足元でリーマンショック直後の2倍程度まで上昇している。この原油価格上昇に伴う貿易黒字増加は、経常黒字を拡大させ、これによる海外からの所得移転がロシアの内需を押し上げている。ただ、エネルギー輸出への依存度が高いロシア経済の先行きは、原油価格次第であり、原油価格が下がれば、ロシア経済は再び失速する可能性が高い。


○ロシアは、リーマンショック後の景気後退に際して、原油価格高騰を背景に積み上げてきた準備基金を取り崩して対応した。しかし、準備基金の残高は、リーマンショック前よりも大きく減少しているため、新たな危機が発生した場合の財政面の対応能力は低下していると言わざるを得ない。


○ロシアに対する日本企業の関心は、リーマンショック前に比べれば、やや低下している。しかし、それでも、非アジア新興国における人気ランキングで見ると、ロシアはブラジルに次ぐ位置にあり、ロシアに対する日本企業の高い期待感は依然として失われていないと言える。日本人の対ロシア感情が悪いのとは対照的に、ロシア人の対日感情は非常に良好であり、これは、今後、日本企業がロシアにおいて市場開拓や人材確保を進める上での大きな利点になるものと期待される。


○ロシア経済が成長力を高めるカギは、供給サイドの活性化であると言える。特に、エネルギー以外の民間部門の成長が重要なポイントとなる。ロシアは、資源や人材は豊富であるが、それらを付加価値創出に結びつけるための民間企業活動の基盤となる「ビジネス環境」が他の新興国と比べて劣悪である。これを改善することが、ロシアにとっての最優先課題である。


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