大企業における「2020年問題」~バブル・団塊ジュニア世代の高齢化による人件費負担増~
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2014/03/17
調査部 尾畠 未輝


○わが国の雇用や賃金における大企業の存在感は大きい。もっとも、足元では雇用に不足感が出始めたものの、大企業の人件費抑制姿勢は根強いままである。これまで、大企業では人件費抑制のために非正規雇用の拡大や若年雇用の抑制といった方法が採られてきた。また、団塊世代が賃金水準のピークを越えたことや退職が本格化し始めたことも、人件費の圧縮に繋がっている。


○現在、大企業はバブル・団塊ジュニア世代の高齢化による人件費の増加という新たな課題に直面している。2012年時点で、大企業における当該世代の中心が雇用者全体に占めるウエイトは各年齢層の中で最も高く、その数は1992年時点の団塊世代よりも多い。


○バブル・団塊ジュニア世代の人件費の増加に追い討ちを掛けるのが役職にまつわる問題である。ただでさえ増加が見込まれるこの世代の人件費は、賃金水準が高い役職者の存在によって一段と増すことになる。これまでは役職者の数を維持する一方、その賃金を変動させることによって人件費の抑制を行ってきたが、今後、役職者数を増加させないとなるとバブル・団塊ジュニア世代にとっては所得環境が厳しくなる。


○2014年でバブル・団塊ジュニア世代は40~49歳であるが、賃金のピークが50~54歳であることを考えると、この世代の最後が賃金ピークを超えるのは10年以上先である。バブル・団塊ジュニア世代に対する人件費の負担が増すのはこれからが本番であり、2020年頃にはその人件費がピークになると見込まれ、大企業は「2020年問題」に直面することになる。


○今後も、従来と同じような人件費抑制方法を採り続けることには限界がある。若年層を中心とした雇用の抑制を続けることはいびつな雇用構成を再び生じさせることになってしまう上、足元では非正規雇用だけでなく正社員への需要も高まっており、非正規雇用への置き換えを際限なく進めることはできない。


○ある世代の人件費の増加の調整を、若年層など他の世代にしわ寄せさせることは問題である。少子高齢化とそれに伴う雇用延長という流れの中で、退職するまで労働者のモチベーションを維持するための仕組み作りが必要である。また、中長期的な視点を持って雇用・賃金体系を検討し、適切な成果主義の活用などを通じて、バブル・団塊ジュニア世代をいかに活用していくかを考えることが重要である。


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