多様化する非正規雇用~タイプ別分析からみえる実態と課題~
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2015/07/31
調査部 尾畠 未輝


○1990年代前半までは1000万人を下回っていた非正規雇用者は、その後ほぼ一貫して増加が続き2015年1~3月期平均は1979万人にまで増え、役員を除く雇用者に占める割合が37.7%となった。非正規の雇用形態は多様化しており、従来からのパートやアルバイトに加え、契約社員や派遣社員、嘱託などが増えてきた。


○1990年代前半までは、いわゆる”主婦のパート”が非正規雇用の中心だった。その後、”フリーター”という新しい働き方が広がったこともあって、2000年頃にかけて若い世代の非正規雇用者が増加した。現在では、年齢層の高い非正規雇用者がとくに増えている。


○非正規雇用者を4つのタイプ((1):学生バイト層[24歳以下/男女]、(2):主婦層[25~54歳/女性]、(3):中年フリーター層[25~54歳/男性]、(4):セカンドキャリア層[55歳以上/男女])に分けて特徴を分析する。


○タイプ(1)は多くがアルバイトであり年間就業日数や週間就業時間は短く、その数は近年減少している。タイプ(2)はパートが多く、半数近くが年収100万円未満である。タイプ(3)は正規雇用に就けないために非正規で働いている人が多く、長時間労働や副業に積極的である。このため、非正規の中では比較的年収が高い人が多い。タイプ(4)は定年後の嘱託が多く、就業にあまり積極的ではないが、年収は高めである。


○厚生労働省「賃金構造基本統計調査」でみた2014年のパートタイム労働者(正職員・正社員以外)の平均年収は111.2万円と一般労働者(正職員・正社員)の515.9万円を大きく下回る。非正規雇用の賃金水準は徐々に上がっているが、賃金カーブはほぼ変わっておらず、賃金状況にはバラつきがみられる。


○非正規雇用については賃金水準の低さや雇用の不安定さといったデメリットが注目されがちだが、一方でその働きやすさから多様な働き方を支える雇用の受け皿という役割を担っている。同じ非正規雇用でも人によって就いている目的や働き方は様々であり、多様化が進む中では賃金アップなど一辺倒の対策では不十分だ。一方、非正規雇用者自身にも責任感やキャリアップのための努力が必要であり、非正規雇用の課題解決に向けて、雇用者と企業の双方が協力して取り組むことが求められる。


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