人口減少が潜在成長率に与える影響~潜在成長率は2020年にマイナスのおそれ、雇用拡大による成長力強化が急務~
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2016/02/26
調査部 細尾 忠生


○わが国は、本格的な人口減少局面を迎えた。潜在成長率は0.3%程度まで低下しており、今後、人口減少ペースが加速することによって、何も対策を講じなければ、労働、資本、生産性の3つの面から潜在成長率の一段の低下が避けられない。


○潜在成長力を強化していく際に、人口減少下にあっても雇用が拡大するドイツが参考モデルになる。雇用拡大による成長力強化の方策を考える上で、わが国の産業構造をみると、介護、保育、家事支援等のサービス業のウエイトが高まっている。これらの業種は人手不足感が強く、潜在需要の掘り起こしができていない。雇用拡大を促す政策によってサービス業の人手不足を解消すれば、潜在需要の顕在化を通じてわが国の成長力を強化することができる。


○潜在需要を顕在化させるためには、様々な働き手による労働供給を確保する必要がある。女性の就業率上昇を促す環境整備に加え、まず、雇用のミスマッチ等の理由により、就労を希望しながら無業状態にある人々に対し、雇用補助金の支給を通じミスマッチの解消を図れば100万人程度の就労が可能になる。また、シルバー人材センターの機能を強化し、職業仲介機能を高めることによって、100万人程度の高齢者の就業機会を確保することが必要である。


○政府は外国人労働者について、高度人材の受入れ拡大と単純労働者の受入れ禁止という基本方針の下、高度人材の概念を時代の変化に応じて拡大させ、また、実習目的で単純労働に従事する人々についても、実習目的の明確化を図りつつ受入れ拡大を目指しているが、迅速な対応が求められる。


○これらの取組により雇用拡大が進む場合には、2020年の潜在成長率を0.8%に高めることが可能である。半面、雇用拡大が進まず人口減少の影響が深刻化する場合には、潜在成長率は2020年にマイナスに転じる。雇用拡大を促す政策を通じ、介護、保育、家事支援等のサービス分野における潜在需要を顕在化させていくことによって、わが国の成長力を強化していくことが喫緊の課題である。


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