MURC東海景気動向指数
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2016/09/27
調査部 土志田 るり子


○東海地方は、愛知、岐阜、三重の3県で日本経済の約1割を構成する日本有数の経済圏であるが、その経済構造には他の経済圏と異なる特徴がある。そこで、東海地方の景気動向を示す経済指標として「MURC東海景気動向指数」を作成し、景気動向を観察することとした。


○東海地方の産業構造の最大の特徴は、鉱工業のウェイトが32.8%と非常に高い点である。なかでも輸出競争力の高い輸送機械工業の割合が圧倒的に高く、生産全体の動きを左右してきた。また、近年では生産の中で輸送機械に次いでウェイトの高い電子部品・デバイス工業、はん用・生産用・業務用機械工業の動向も生産全体への影響度を高めている。


○2014年以降、輸送機械工業が減速する一方、電子部品・デバイス工業や、はん用・生産用・業務用機械工業の生産増加が東海地方の生産指数を押し上げてきた。このため、生産指数は全国では低下傾向が続いているにもかかわらず、東海では横ばいとなっており、動きに違いが出ている。


○MURC東海景気動向指数の作成にあたり、CI一致指数にふさわしいと思われる7つの経済指標を採用した(1.鉱工業生産、2.鉱工業生産(金属工作機械)、3.有効求人倍率、4.人件費比率、5.大型小売店販売額、6.実質輸入、7.所定外労働時間)。


○ヒストリカルDIに基づく景気の山谷は、全国と東海でほぼ一致するものの、多少前後することがある。ITブームが終わった2001年の景気後退期では、東海は全国に遅れて景気後退期に入り、後退期間も全国より短かった。輸送機械のウェイトが高い東海はITブームによる過熱度合いが小さく、ITブームが終わった影響が相対的に軽微であった可能性がある。


○一方、2008年のリーマン・ショックを含む景気後退の際には、東海が全国に先行して景気後退期に入った。リーマン・ショック前から世界経済は減速しており、輸出に対する依存度が高い東海では景気後退に入るタイミングが早かったと推測できる。


○2000年代、景気が落ち込んだ後の回復のスピードは、全国よりも東海地方のほうが速かったといえる。輸出競争力が高い製造業のウェイトが高く、世界経済の回復に合わせた景気の回復力が強いことが背景にあると考えられる。


○ヒストリカルDIをベースにした景気転換点の判定では、全国では2014年3月に山をつけた後、後退局面が続いていた可能性がある。一方、この時期の東海の景気の転換点は現時点で定まっておらず、景気動向指数(CI一致指数)は横ばい圏で推移しているように見える。輸出の回復力が弱く、消費増税の影響で景気回復の動きが全国的に止まってしまったなかで、相対的に輸出競争力の高い東海では、景気が横ばいを維持していると考えられる。


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