財政健全化に向けて求められる中間評価の活用
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2018/07/06
調査部 中田 一良


○政府は、2018年6月に決定した「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太の方針2018)において、新しい経済・財政再生計画を策定した。財政健全化目標として、2025年度に基礎的財政収支を黒字化させ、債務残高のGDP比を安定的に引き下げることが掲げられている。


○また、同計画では、2021年度を対象に、進捗状況を管理するためのメルクマールとして、中間指標が設定されている。具体的には、基礎的財政収支赤字のGDP比については、実質的に半減させて、1.5%程度とすることを目指し、債務残高のGDP比については180%台前半、財政収支赤字のGDP比については3%以下にする目標となっている。


○政府は、新しい経済・財政再生計画の策定に先立って、2018年3月に2015年度に策定した経済・財政再生計画に基づく取組状況を確認するために、中間評価として2018年度の財政状況について点検を行っている。


○中間評価によると、2015年度時点の想定と比較すると、歳出面では補正予算を通じた歳出の拡大により赤字幅がGDP比で0.4%程度拡大し、歳入面では成長率の下振れ等により税収の伸びが想定よりも緩やかだったことにより、赤字幅はGDP比で0.8%程度拡大したことなどが示されている。しかしながら、財政健全化に向けて、こうした内容を踏まえた具体的な対応策が新しい経済・財政再生計画に盛り込まれているとは言えない。


○2019年10月に予定されている消費税率の引き上げに伴う需要変動に対して機動的な対応を図る観点から、政府は臨時・特別の予算措置を講じる方針であり、2019年度以降の財政状況は厳しくなる可能性がある。さらに、政府が指摘しているように、2025年には団塊世代がすべて75歳以上となり、医療費、介護費を中心に社会保障関係費が増加し、財政を取り巻く環境はいっそう厳しくなると見込まれる。このため、財政健全化に向けた取組を強化しなければならない状況となることも考えられる。


○その際に活用すべきであると考えられるのが、中間評価である。新しく策定された経済・財政再生計画では、2021年度の財政状況について中間評価を行うことになっている。そこで明らかとなった課題を解決する具体的な対応策を、経済・財政再生計画に盛り込むことが財政健全化に向けて必要であると考える。


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