世界的な金融危機とその影響
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2008/11/12


~深刻な世界同時不況に至るのか~


○証券化という金融手法、過剰流動性、そしてリスクに対する感度の緩み。これらが相俟って膨張していた信用が、サブプライムローン問題をきっかけに崩壊し、損失の拡大によって大手の金融機関の経営が一気に悪化した。そして、金融機関が互いに疑心を抱くようになった結果、銀行間市場は機能不全に陥った。


○事態の急速な悪化に直面して、各国の政府・金融当局は大手金融機関は潰さないという方向で一致してきており、すでに金融機関への資本注入が実施されている。今後は、資産を厳格に査定し、不良資産をバランスシートから除去した上で、足りない場合は資本を注入するといった対応が必要になる。住宅価格の下げ止まりにはまだ時間がかかるが、金融市場は最悪期を脱してきている。


○金融市場の混乱は実体経済に影響する。金融機関の自己資本の毀損を背景にした資産の圧縮が信用を収縮させて米国経済にマイナスに作用している。過剰な債務を抱えた米国の家計は債務返済のために消費を抑制する。企業の財務状態は今のところ良好だが、収益環境に加えて資金の調達環境も厳しくなっており、今後は設備投資が抑制される可能性がある。また欧州では、米国と同様に信用収縮の動きが強まっているほか、周辺新興国の減速により輸出も停滞が見込まれている。


○欧米諸国の景気は当面厳しい落ち込みが予想されるが、財政支出の拡大が景気を下支えし、金融危機が恐慌をもたらすというシナリオは回避できるだろう。ただ、金融危機の背後で世界経済の構造は大きく変わろうとしている。牽引役であった米国経済の成長力が低下し世界経済はしばらく減速する。しかし他方で中国など新興国の存在感が増して多極化の方向に向かいながら成長力を取り戻してくるだろう。


○日本国内ではバブルがあまり発生していなかったが、海外のバブルの恩恵に浴して輸出が拡大していた。世界経済の成長鈍化を背景に日本も景気後退が続くだろう。欧米に比べると金融市場は健全だが、今後も信用収縮の動きが広がらないような予防的対応が必要だ。同時に、世界経済の構造変化に合わせた日本経済の成長戦略を考える必要がある


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