日本のEPA戦略のあり方~韓国との比較を通じた検討~
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2013/02/01
調査部 中田 一良


○世界貿易において開発途上国・新興国のプレゼンスが高まる中、WTOのドーハ開発ラウンド交渉は、先進国と開発途上国・新興国との利益の対立から行き詰っている。このため、二国間あるいは地域におけるFTA(自由貿易協定)が世界で積極的に締結されている。


○FTAを締結する目的としては、関税の削減、撤廃を通じて貿易を活発化させ、経済成長につなげることが考えられる。さらには、競争を通じた国際競争力の強化、対内直接投資の増加などが挙げられる。このほか、グローバル化が進展する中で、競争相手よりも有利な条件でビジネスを行う環境を整備することが挙げられる。ある国が締結したFTAが他国のFTAの締結を促進している面もあり、FTAは国家間の競争とも言える。


○こうした中、韓国は、内需の規模がそれほど大きくないことから、輸出をテコにした経済成長を目指しており、FTAを積極的に締結している。2011年にEUと、2012年に米国とFTAを発効させており、現在は中国とFTA交渉を行っている。韓国は日本と同様にFTA締結にあたって農業への影響が懸念材料となるが、農業への支援策を実施する一方、コメなどを自由化の対象外にすることで、FTAを推進している。


○日本は、2000年代に入ってからEPA(経済連携協定)を積極的に締結しており、これまでに締結した数はASEANを中心に13に上る。もっとも、締結したEPAは、ASEAN以外は貿易規模の小さい国であるため、貿易総額に占めるEPA締結国のシェアは2割に満たない。また、EPAで関税を撤廃する品目が全体に占める割合をみると、国内の農林水産品に配慮した形での自由化となっているため、低い水準にとどまっている。


○RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日中韓FTAなどの交渉が今後始まることに加えて、TPP(環太平洋パートナーシップ)交渉への参加問題など、通商政策は大きな課題を抱えている。日本がEPAを推進していくにあたっては、農業の活性化を含む農業政策のあり方について検討する必要があろう。また、スピードを意識した対応や、経済活性化を意識した取り組みも重要になる。将来、RCEPやTPP、EUとのEPAが妥結に至れば、先進国を中心に主要貿易相手国とのEPAネットワークが完成するため、その後は開発途上国や新興国とのEPAを進めることが課題となるだろう。


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