減少する労働力~求められる均衡失業率の低下~
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2015/06/15
調査部 尾畠 未輝


○2015年4月には完全失業率が3.3%(季節調整値)と1998年4月以来の低水準となり、均衡失業率にほぼ近付いているとみられる。雇用の過不足感を示す雇用判断DIもマイナス(不足超)が続き、一部では人手不足が深刻な状態である。景気の持ち直しを背景に雇用環境も改善傾向が続いたことで、足元では労働需給がタイト化しており、労働力の不足が供給制約になってしまうのではないかという2000年代半ばに広がった懸念が再燃している。


○潜在成長率は、[⊿労働投入量+⊿資本投入量+⊿全要素生産性]で決まる。このうち、労働投入量は、[労働力人口×一人あたり労働時間]である。労働力人口は、女性や高齢者の労働参加が進んでも減少が避けられない見通しだ。労働時間も、非正規雇用の拡大が続くことや長時間労働の抑制という観点から短くなっていくだろう。また、今後も労働生産性は緩やかな伸びにとどまる可能性が高い。


○長い目でみると、人口が伸びなくなる中、実質GDP成長率は徐々に低下してきた。労働力人口の減少は供給面だけでなく需要面にも影響する。足元では需要の拡大ペースが急なだけでなく一部に集中していたため供給不足がより強く顕在化しているが、従来からの需要の伸び悩みという問題が解決したわけではないと考えられる。


○労働市場が縮小均衡となる中、雇用のバッファー部分が小さくなりミスマッチが起こりやすくなっていることで、雇用環境が短期的な景気動向で振れやすい状況に陥っている。このため、現在のように景気が急に持ち直すと一部に深刻な人手不足が起こるだけでなく、逆に、景気が少しでも落ち込むと雇用環境も大きく悪化し、失業率が急上昇してしまうことになりかねない。


○労働力人口の減少そのものも問題だが、正規と非正規、職種や年齢など様々なミスマッチが起こり、なかなか労働力として活躍できない人が残っていることが、目先の人手不足をより深刻にしていると考えられる。需要の拡大による失業率の低下に加え、ミスマッチの解消による均衡失業率の低下が新たな課題となっている。


○雇用のミスマッチの解消がより重要となっており、そのためには労働市場の流動性を高めることも必要だ。解雇規制緩和も一つの手段として考えられているが、その後の受け入れに繋がる仕組みを同時に整えていかなければ、不安定な雇用を助長することになりかねない。


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