2016/2017年世界経済見通し(2016年7月改定)~世界景気は減速に歯止めも力強さを欠いた状態が続く~
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2016/07/07
調査部 土田陽介


○2016年前半の世界景気は、それまでの減速の流れに歯止めがかかった模様である。主要な経済の動向を確認すると、米国景気は15年夏以降強まった減速の流れが一服した。またユーロ圏景気も緩やかな拡大基調を維持した。中国景気は減速が続いたものの、緩やかなテンポにとどまっている。新興国は全体としては最悪期を脱したと判断されるものの、二極化の様相を呈している。


○今回の改定見通しでは、世界経済の実質成長率を16年が+2.7%、17年が+2.9%と1月の『世界経済見通し』からそれぞれ0.4%ポイントずつ下方修正した。世界景気は足元にかけて減速に歯止めがかかったものみられる。したがって16年後半から緩やかに持ち直すと考えられるが、17年にかけての増勢は緩やかなテンポにとどまり、力強さを欠いた状態が続くだろう。


○主要経済ごとの見通しを述べると、米国の実質経済成長率は16年が+1.9%、17年が+2.2%になり、景気は緩やかに拡大すると予測した。景気減速が長く続いたことに加えて、世界景気の拡大テンポが緩やかであり輸出の持ち直しが遅れるとみられることから、年始の『見通し』よりも下方に修正した。続いてユーロ圏の実質経済成長率は16年が+1.1%、17年が+1.3%になり、景気は緩やかに拡大すると予測した。主要輸出先である英国の景気悪化がユーロ圏の輸出の重荷になることに加えて、欧州金融市場の不安定が消費や投資の増勢を下押しすることを考慮して、年始の『見通し』よりも下方に修正した。さらに中国の実質経済成長率は16年が+6.7%、17年が+6.6%になり、景気は拡大するがそのテンポは緩やかに減速すると予測した。中国景気の減速は年始の『見通し』で示した通りの緩やかなピッチにとどまっていることから、成長率の予測値は据え置いた。


○16年6月23日、英国で実施された欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の結果、離脱派が勝利した。これがトリガーとなる形で世界同時株安が生じたが、このことは世界の金融市場がイベントリスクに対して敏感になっていることを改めて印象付けるものであった。世界景気が依然力強さを欠く一方で、金融市場もまた不安定な地合いである。こうした中、金融イベントが世界景気を下振れさせる危険性には引き続き注意したい。


○具体的には、米国の追加利上げや中国景気の下振れ懸念の高まりを受けて、世界同時株安など国際金融市場の調整が強まるようならば、世界景気はリーマン・ショック以来の後退局面に突入するだろう。その他にも、欧州で反EUの流れを受けて信用不安が再燃するリスクや保護主義が台頭する新興国から資本が流出するリスク、さらに商品市況が急騰・急落して世界景気を圧迫するリスクが警戒される。


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