2017/2018年欧州経済見通し~景気は緩やかに拡大する一方で、政治リスクに翻弄される状況が続く~
全文紹介

2017/02/07
調査部 土田 陽介


○ユーロ圏景気の先行きを見通すと、実質GDP成長率は17年が+1.5%、18年も+1.5%と景気は緩やかな拡大が続くだろう。まず輸出が、英国の景気減速が重荷となるものの、世界景気の拡大を受けて引き続き緩やかに増加する。また設備投資は、新規需要があるため着実に増加する。建設投資も、低金利環境の中で好調を維持する。そして政府支出も、欧州連合(EU)の財政拡張スタンスを受けて緩やかに増加する。他方で個人消費は、雇用情勢の改善テンポが鈍化するとともに、エネルギー価格の上昇を受けて実質所得が減少するため減速を余儀なくされる。


○17年のEUでは主要国で国政選挙が相次ぐ。欧州懐疑主義に立つ民族主義政党はある程度躍進するものの、EUそのものの枠組みを脅かすような勢力の拡大までは起きないというのが、メインシナリオになる。言い換えれば、こうした予想に反して民族主義政党が大勝するようなことになれば、金融マーケットの混乱は必至となる。マーケットの混乱は様々な経路を通じて景気に下押し効果を与えると予想され、具体的には、先行き不安から設備投資が、金利の上昇や株価の下落を受けて個人消費が、それぞれ手控えられると考えられる。


○英国景気の先行きを見通すと、実質GDP成長率は17年が+1.6%、18年が+1.2%と景気は減速するだろう。個人消費が、エネルギー価格の反発やポンド安の影響を受けてインフレ圧力が高まるために、悪化を余儀なくされる。また設備投資も、17年3月から開始が予想されるEU離脱交渉に対する不透明感から手控えられるため、景気を減速させる。他方で、ポンド安を受けて輸出が当面は堅調に推移する。また建設投資も、都市間高速鉄道計画などの大型開発プロジェクトが進行中であるため底堅く推移する。


○英国にとって最大のリスクシナリオは、交渉が2年(19年中)で打ち切られると同時に、一切の経過措置が認められないというハードランディングの事態に転じることである。この展開の実現可能性が意識された時、金融マーケットでは通貨安、債券安、株安のトリプル安が進行することになる。なお離脱後の経過措置が英国にとって不利なものに傾きそうだと認識された場合にも、金融マーケットが緊張すると予想される。金融マーケットの混乱次第では、英国景気は09年の金融危機以来となる本格的な景気後退に直面することになるだろう。


全文紹介 前のページへもどる

ページの先頭へ

1234567890