2008/2009年度経済見通し(2008年5月)
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2008/05/20


~インフレ圧力の広がりの中で試される景気回復の持続性~


○今年1~3月期は高い経済成長を記録したが、景気の先行きに対する懸念は続いている。新興国や資源国を中心とする世界経済の成長に支えられた外需主導の景気回復は、うるう年による個人消費の拡大や、改正建築基準法施行後の混乱の落ち着きによる住宅投資の持ち直しによって一時的に加速している。しかし、米国経済の減速や原材料価格の高騰といった企業の収益環境を悪化させる要因が広がっており、物価上昇による個人所得の目減りなど家計を取り巻く環境も厳しくなっている。


○2008年度は、先行きに懸念が残るものの、景気は緩やかな回復を続ける。経済成長率は、実質で+1.8%、名目で+1.6%を予想する。米国をはじめとして世界経済は減速するが拡大基調は続く。輸出の拡大が続くので、生産は踊り場を挟みながらも増加していく。原油価格の高止まりが影響して収益環境は厳しさを増すが、設備投資が減少基調に転じるような厳しい調整にはならない。労働需給の引き締まりを反映して賃金は緩やかながら増加し、個人消費も拡大が見込まれるが、物価の上昇が消費の拡大ペースを抑える。改正建築基準法施行の影響が薄れて住宅投資は持ち直すが、住宅市場は調整しており、前年の大幅な減少に比べると小幅な増加にとどまる。


○2009年度は実質で+1.6%、名目で+2.3%を見込む。世界経済の拡大基調が続き、輸出の増加に支えられて日本経済も回復を続ける。ただ、川上からのインフレ圧力が引き続き企業収益を圧迫し、さらに価格転嫁を通して川下の消費段階に広がり、個人消費を中心に景気回復の頭を抑えてくる。日本経済の潜在的な成長力に大きな変化はないが、実質成長率はやや低い伸びとなる。一方、名目成長率は、資源価格の高騰による名目輸入の増加が一服してくるため、比較的高い成長が予想される。


○日本経済は、世界経済の減速と資源価格の高騰という二つの問題に直面しており、その舵取りは難しい。もっとも、米国経済の停滞が続く一方で、新興国や資源国の高成長が世界経済の減速を緩やかなものにして、日本からの輸出は増加が続きそうだ。しかし、その新興国の成長が資源価格の上昇をもたらし、世界的なインフレ圧力を拡大させている。コストの上昇で収益が圧迫される企業、消費者物価の上昇で実質所得が目減りする家計、二つの経済主体がインフレ圧力の広がりの中でどのように行動するかによって景気回復の持続性が試されてくる。


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