2009/2010年度経済見通し(2009年5月) ~「L」でもなければ「V」でもない景気回復~
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2009/05/22

○景気の現状は厳しいが、底打ちの動きも出てきた。今年1~3月期の実質GDP成長率は前期比-4.0%(年率-15.2%)と4四半期連続のマイナス成長となり、マイナス幅は第1次石油ショック時の74年1~3月期や昨年10~12月期を上回る戦後最大となった。一方、輸出や生産は極めて低い水準で推移しているものの、在庫調整の進展や中国向け需要の増加を背景に、持ち直しの動きが出ている。

2009年度は景気の急速な悪化が一服し、年度前半は輸出や生産に最悪期からの持ち直しの動きが広がってくる。政府の経済対策の効果も加わって成長ペースが高まることが予想されるが、回復の動きが出てきても輸出や生産の水準は2007年当時に比べると低いままだ。過剰な設備や雇用の調整が続くため、設備投資や個人消費が抑えられ、景気の回復は緩やかなものにとどまる。実質成長率は-3.8%と、2008年度後半の急速な景気の悪化によってマイナスのゲタを履くため、2年連続の大幅なマイナス成長となる。ゲタの影響を除いた年度中の成長率は+1.1%となり、前年度から大幅に回復する。

2010年度になると、世界経済の成長率も中国など新興国を中心に、プラス成長に戻ってくる。依然として日本の輸出環境は厳しいが、緩やかながらも輸出の増加が続くため、景気が再び悪化していくことは回避できそうだ。しかし、設備や雇用の過剰問題が残るため、個人消費や設備投資の回復は緩やかなものにとどまる。また、政府の経済対策の効果が剥落してくることもマイナス材料となる。実質成長率は、前年度中の成長によってゲタを履くため+0.9%とプラス成長になるが、年度中の成長率は+0.1%とほぼゼロ成長にとどまる。

○景気が底打ちしても足元のGDPの規模は1年前に比べて1割も小さくなっている。低成長が続くため、当分の間はもとの水準まで戻るのが難しそうだ。低成長が続けば、過剰な設備や雇用の解消には時間がかかる。景気は最悪期を脱してきたものの成長率は高まらず、重苦しいムードが続くことになろう。永久に夜が明けない「L」字型でもなければ、夜が明けたから明るくなる「V」字型でもない。夜が明けても暗い状況が続く中で、緩やかではあっても景気の上向きの方向を維持していくことが重要になってくる。

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