2016/2017年度短期経済見通し(2016年11月)~下振れリスクが残る中、景気は緩やかに持ち直していく~
全文紹介

2016/11/15
調査部


○11月14日に発表された2016年7~9月期の実質GDP成長率は、前期比+0.5%(年率換算+2.2%)と3四半期連続で増加し、景気が横ばい圏内の動きから抜け出しつつあることが示された。もっとも、中身を見ていくと、外需主導の回復であって、内需の伸びは小幅にとどまっているなど、回復の勢いに力強さはない。一方、GDPデフレーターは、内需の弱さや、円高による輸入物価の下落の影響が国内物価にも浸透してきたことを受けて前年比-0.1%と11四半期ぶりにマイナスに陥っており、物価下落圧力が再び強まっている。


○米国でのトランプ大統領の誕生決定を受けて、景気回復への期待感が急速に高まっている。しかし、公約がどの程度実現されるかは不透明である。今後、トランプ氏の言動を巡って期待感が急速に後退し、金融市場が混乱するといったリスクもある。このため、トランプ新大統領の下で米国の景気が順調に拡大していくと過度に期待することはできない。


2016年度は、年度末にかけて緩やかな景気の持ち直しが続き、年度の実質GDP成長率は前年比+1.1%とプラス成長が続くと予想される。景気が持ち直すのは、実質所得の増加を背景に個人消費が徐々に底堅さを取り戻すことに加え、海外経済の回復を背景に輸出が緩やかに持ち直していくためである。また、年度末にかけては2016年度第2次補正予算の効果が現れ始めることも景気を下支えする要因となる。ただし、金融市場の混乱などをきっかけとして、持ち直しつつある海外経済が再び減速し、輸出が減少傾向に転じることになれば、これまでの景気の横ばい圏での動きが長期化するリスクが高まってこよう。


2017年度は、緩やかな景気回復の動きが続き、実質GDP成長率は前年比+0.9%と3年連続でプラス成長を達成する見込みである。雇用・所得情勢の改善が続くことを背景に個人消費が緩やかに持ち直すうえ、企業業績の改善を受けて設備投資が緩やかな増加基調に転じることが景気を下支えする。また、2016年度第2次補正予算による効果が、上期を中心に現れることも景気を押し上げる。さらに、海外景気の回復が続くことから、輸出も増加基調を維持すると予想される。


2018年度は、東京オリンピックを控えた需要の盛り上がりがピークに達するため、公共投資や首都圏での再開発案件の増加が景気の押し上げ要因となる。しかし、2016年度第2次補正予算の効果の剥落によって公共投資がマイナスとなること、原油価格など資源価格の持ち直しもあって国内物価が上昇し、実質賃金の伸びが鈍化することが個人消費の勢いを削いでしまうこと、さらに米国景気の金融引き締め継続をきっかけに海外景気の伸びが鈍り輸出の増加ペースが緩やかとなること、などいくつかのマイナス要因が重なる。このため、実質GDP成長率は前年比+0.8%に鈍る見込みである。


※(11月24日訂正)経済レポートの1枚目の数字に誤りがありました。訂正してお詫び申し上げます。
 正「実質GDP成長率は前年比+1.1%と3年連続でプラス成長を達成する見込み」
 誤「実質GDP成長率は前年比+0.9%と3年連続でプラス成長を達成する見込み」
なお、1枚目下部の図表でも実質GDP成長率の数字を記載しておりますが、こちらは「1.1」と正しい数字でした。


全文紹介 前のページへもどる

ページの先頭へ

1234567890