コモディティ・レポート (2012年9月)
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2012/10/23
調査部 芥田 知至


I.コモディティ市況全般: QE3後に上昇が一服


コモディティ市況は、9月に入って、欧米の金融政策や中国の公共投資計画を材料に大幅に上昇した。しかし、QE3決定後に、ドル安やインフレ(通貨価値下落)を背景としたコモディティ買いの思惑が一巡すると、中国や欧州の景気減速観測などにより、上値が抑えられた。


II.エネルギー市況: 地政学リスク懸念と需要鈍化観測の綱引き


原油市況は、QE3を材料に9月14日にブレントが118ドル近く、WTIが100ドル超に上昇した後、頭打ちとなった。中東情勢の悪化が市況の押し上げ圧力だが、世界景気減速による原油需要の下振れが押し下げ圧力になっている。当面、需要の下振れ観測が続き、ブレントを中心に市況は下落が見込まれる。


III.ベースメタル市況: 米欧中の政策効果への行き過ぎた楽観が修正


銅市況は、9月中旬に8,400ドル台まで上昇したが、10月中旬には8,000ドル割れとなった。米欧中の政策による景気押し上げ効果に対する楽観的な見方が修正され、市況が下落した。欧州の債務問題や中国の景気減速に加えて、米国の「財政の崖」も先行きが不透明であり、銅市況は一進一退が見込まれる。


IV.貴金属市況: 金は1,800ドル近くから下落


金市況は、10月上旬には1,800ドルに迫ったが、19日には株価下落を受けて1,715ドル程度まで下落した。今後も、米国で「財政の崖」による景気失速懸念から追加金融緩和観測が強まる場合や、欧州債務問題への懸念が後退してドル安が進む場合には、金市況が上昇しやすい状況が続くと思われる。


V.トピック: 中国の景気情勢を反映するコモディティ市況


石炭や鉄鋼に比べて、非鉄金属の市況は堅調だ。こうした市況動向から判断すると、中国経済が減速しているといっても、一様な減速ではなく、減速圧力が強い部門と、引き続き成長圧力が強い部門とが混在しているようだ。高度成長から中成長へのシフトダウンや、投資主導から消費主導への転換といった構造調整が想定される状況では、産業分野ごとに異なる調整圧力が生じているものと考えられる。


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