2013年7~9月期のGDP(1次速報)結果
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2013/11/14
調査部 小林 真一郎


本日公表された2013年7~9月期の実質GDP成長率は前期比+0.5%(年率換算+1.9%)と4四半期連続でプラスとなった。拡大ペースがやや鈍ったとはいえ、景気が緩やかに持ち直していることが確認された。ただし、中身をみていくと、公共投資や在庫投資によって大きく押し上げられており、見た目ほど回復力に力強さはない。また、物価上昇圧力が徐々に高まっており、これまでのようにデフレによって実質成長率が押し上げられる効果が薄らいできている。


ここまで景気の回復を牽引してきた個人消費は前期比+0.1%と、ほぼ横ばいにとどまった。消費者マインドの低下やこれまでの高い伸びの反動に加え、消費者物価の上昇の影響が出たものと考えられる。名目では前期比+0.4%と底堅さを維持しているが、デフレーターが前期比+0.3%と高い伸びとなったことから、実質での伸びが抑制された。また、今夏のボーナスが前年水準を上回ったものの、所定内給与の落ち込みに歯止めがかかっておらず、実質雇用者報酬が前期比-0.6%と低迷していることも個人消費にとってマイナス要因となったとみられる。


設備投資も、前期比+0.2%と3四半期連続でプラスとなったものの、伸びは低いままである。企業業績の改善は進みつつあり、企業の景況感も持ち直しているが、設備投資マインドはなかなか高まってこない。


住宅投資は同+2.7%と堅調に増加した。4~6月期分も上方修正されて前期比プラスに転じたため、5四半期連続での増加となった。住宅ローン金利の先高感や消費税率引き上げを控えての駆け込み需要などによって足元の着工件数が増加していることが、押し上げにつながっている。


これらの民間最終需要(個人消費、設備投資、住宅投資の合計)の寄与度は前期比+0.2%にとどまった。これに対し、内需の押し上げに寄与したのが、在庫投資と公的需要である。


在庫投資は前期比寄与度+0.4%と急増した。生産の伸びに比べてこのところ出荷の伸びが弱く、結果として在庫指数がやや上昇している。これが在庫投資の増加につながった可能性があり、需要増加をにらんで企業が積極的に在庫を積み増している状況ではない。1次速報の段階では全ての数字が出揃っておらず、2次速報値の段階で下方修正される可能性があろう。


公共投資は、昨年度の経済対策の執行が本格化したことから同+6.5%と7四半期連続で増加し、水準も2004年1~3月期以来の高さに達した。政府消費も同+0.3%と着実に増加しており、公的需要全体での前期比寄与度は+0.4%と高い伸びが続いている。


輸出は、海外景気の回復ペースの鈍さを反映して前期比-0.6%とマイナスに転じた。一方、輸入は、エネルギー関連や機械類などが底堅く推移しており、同+2.2%と増加が続いている。この結果、外需のGDP成長率に対する寄与度は-0.5%と3四半期ぶりにマイナスに転じた。


名目GDP成長率も前期比+0.4%(年率換算+1.6%)と4四半期連続でプラスとなった。また、経済全体の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは、前年比-0.3%とマイナス幅がやや縮小した。しかし、円安で輸入デフレーターが急上昇したことによって押し下げられており(輸入デフレーターは同+14.3%)、内需デフレーターでみると同+0.4%と2008年7~9月期以来のプラスとなった。住宅投資、設備投資、公共投資といった総固定資本形成のデフレーターが前年比+1.4%とプラス幅が拡大していることに加え、個人消費デフレーターが同+0.3%と、2008年7~9月以来のプラスに転じたことが原因である。建設資材の価格上昇、建設業界での人手不足と賃金上昇、円安による輸入物価の上昇といった影響が、物価全体に徐々に浸透してきている。


2013年10~12月期以降も、実質GDP成長率は前期比でプラスを維持する可能性が高い。マインドの上昇による個人消費の上積みはもはや期待できないが、消費税率引き上げ前の駆け込み需要によって、年度末にかけて個人消費や住宅投資が堅調に増加すると予想されるためである。また、足元でマイナスに転じた輸出も、海外経済の持ち直しにともなって、プラスに転じると期待される。公共投資の前期比での伸びはさすがに鈍化し、設備投資の伸びも緩やかにとどまる可能性があるものの、年度末に向けて実質GDP全体での伸び率は拡大していくと予想される。ただし、デフレーターの伸びがさらに高まってくるようであれば、実質GDPの伸びの抑制要因となる。


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