2015年1~3月期GDP(1次速報)の結果
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2015/05/20
調査部 小林 真一郎


本日公表された2015年1~3月期の実質GDP成長率は、前期比+0.6%(年率換算+2.4%)と2四半期連続でプラスとなった。しかし、在庫の前期比寄与度が+0.5%と伸び率の大部分を占めており、在庫を除いた最終需要の動きは鈍いままである。景気は持ち直しに転じた後も、その勢いは力強さに欠けている。


個人消費は、10~12月期の前期比+0.4%に続き、同+0.4%と3四半期連続で増加した。消費税率引き上げ後の反動減の影響が薄らいでおり、耐久財の伸びが同+1.1%と2四半期連続でプラスとなるなど明るい面もある。しかし、サービスの支出の伸びが弱いなど、総じて反発力は鈍く、依然として水準は低いままである。名目では同-0.1%と3四半期ぶりにマイナスに転じており、物価が下落したことによって実質値が押し上げられているに過ぎない。実質雇用者報酬は同+0.6%と比較的堅調に増加しているが、名目では同横ばいにとどまっており、家計にとって所得が回復しているとの実感は小さいと考えられる。住宅投資は、駆け込み需要の反動減がようやく一巡してきており、同+1.8%と4四半期ぶりにプラスに転じた。


企業部門では、設備投資が4四半期ぶりにプラスに転じたが、伸び率は前期比+0.4%と弱く、ほぼ底ばい状態にとどまっている。大企業を中心に業績が順調に改善しており、手元キャッシュフローは潤沢であると考えられるものの、企業の設備投資に対する姿勢は慎重なままである。また、在庫投資の実質GDP成長率に対する前期比寄与度は、流通在庫などを中心として+0.5%とプラスに転じた。需要の回復を反映した前向きな積み増しではなく、需要の弱さを受けて意図せざる在庫が積み上がっている可能性がある。


民需全体の前期比寄与度は+0.8%と駆け込み需要で盛り上がった2014年1~3月期以来のプラスとなったが、そのうち在庫増加の寄与が+0.5%であり、持ち直しのペースは弱いままである。加えて、公的部門の前期比寄与度も同-0.2%と4四半期ぶりにマイナスとなり、成長率に対して下押し要因となった。2013年度の経済対策の押し上げ効果や予算執行の前倒し効果が剥落したため、公共投資が前期比-1.4%と落ち込んだほか、政府消費も前期比+0.1%と小幅の伸びにとどまった。この結果、内需の前期比寄与度は+0.8%となった。


輸出は、海外景気の持ち直しが続いていることや円安が定着化していること、さらに外国人観光客の国内での消費(サービス輸出)が堅調に増加していることなどを背景に、前期比+2.4%と増加が続いた。一方、輸入が同+2.9%と輸出の伸びを上回ったため、外需の前期比寄与度は-0.2%と4四半ぶりにマイナスとなった。


名目GDP成長率は前期比+1.9%(年率換算+7.7%)と高い伸びとなった。内需寄与度は+0.5%であったが、原油価格下落などによって名目輸入が急減したことを受けて、外需寄与度が+1.4%と大幅に伸びたことが原因である。経済全体の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年比+3.4%と、輸入デフレーターが同-6.8%と急低下したことで押し上げられた(前期比では+1.3%)。


2014年度の実質GDP成長率は-1.0%と、2009年度以来5年ぶりにマイナス成長に陥った。年度後半に景気は持ち直したものの、そのペースは緩やかであり、消費税率引き上げのマイナスのインパクトを埋め合わせるには至らなかった。


今回の実質GDP成長率の結果は、景気は持ち直しているものの、そのペースは緩やかにとどまっていることを示す内容であった。雇用情勢が良好な状態にあることや、企業業績が好調なことから判断すると、今後も前期比でプラス成長が続くと予想される。しかし、積み上がった在庫を調整する圧力が高まって成長率を抑制する可能性があること、海外景気の拡大ペースが鈍化して輸出の伸びが弱まるリスクがあることなどから、4~6月期の実質GDP成長率は低めの伸びにとどまる懸念がある。


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