2017年1~3月期のGDP(1次速報)結果
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2017/05/18
調査部 小林 真一郎


本日発表された2017年1~3月期の実質GDP成長率は、前期比+0.5(年率換算+2.2%)と5四半期連続で増加し、景気が緩やかに持ち直していることが改めて示された。5四半期連続でプラス成長となるのは、2005年1~3月期から2006年4~6月期に6四半期連続でプラスになって以来のことである。


個人消費は、前期比+0.4%と底堅い伸びとなった。自動車など耐久財の消費が伸びていることに加え、サービスの増加基調が維持されている。ただし、年明け以降の生鮮食品価格の下落を受けて個人消費デフレーターが前期比でマイナスとなっており、物価下落が実質値を押し上げたという効果もある。名目の個人消費は前期比で+0.2%の伸びにとどまった。


住宅投資は前期比+0.7%と5四半期連続で増加したものの、先行する住宅着工件数が横ばい圏で推移していることから、勢いは弱まっている。


企業部門では、設備投資が前期比+0.2%とほぼ横ばいにとどまった。維持・更新投資や研究・開発投資を中心に底堅さは維持されているものの、企業業績の改善が続いている割には、国内での新規投資の伸びが加速してこない。


在庫投資の実質GDP成長率に対する前期比寄与度は+0.1%と3四半期ぶりにプラス寄与に転じた。出荷の増加に伴って、企業が手元の在庫を積み増していると考えられる。


以上の結果、民需全体の前期比寄与度は+0.4%となった。これに対し、公的部門の前期比寄与度は横ばいとなった。医療費などを中心に政府サービスに対する需要が趨勢的に増加しており、政府最終消費支出は前期比+0.1%と増加基調を維持している一方、公共投資が同-0.1%と3四半期連続で落ち込んだ。2016年度補正予算による押し上げ効果がなかなか現れてこない。


民需と官公需を合わせた内需の前期比寄与度が+0.4%となったのに対し、外需寄与度は+0.1%と3四半期連続でプラス寄与となった。輸出は、自動車・同部品、スマートフォン関連の電子部品・デバイス、一般機械類などが増加しており、前期比+2.1%と好調を維持し、成長率の押し上げに貢献した。これに対し輸入も同+1.4%と順調に増加しているが、伸び率は輸出を下回った。


名目GDP成長率は前期比-0.0%(年率換算-0.1%)と、わずかながら5四半期ぶりにマイナスに転じた。また、経済全体の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年比-0.8%とマイナス幅が拡大した(季節調整済みの前期比でも-0.6%と大きく落ち込んだ)。国内需要デフレーターは前年比+0.1%とプラスだったものの、原油など資源価格の底打ちなどを受けて輸入デフレーターの伸び率が同+7.5%と急上昇したことが影響した。


4~6月期以降も実質GDP成長率はプラス基調で推移すると予想され、景気は持ち直しの動きが続く見込みである。業績改善を背景に、企業の設備投資が緩やかな増加基調を維持するほか、世界経済の回復を受けて輸出も底堅さを維持しよう。また、2016年度補正予算の執行による公共投資の増加が成長率を押し上げると予想される。


ただし、先行きの景気が下振れるリスクは残る。北朝鮮や中東情勢といった地政学リスクや、米国や欧州の政治動向など、海外には不透明な材料が多く、問題が深刻化した場合には金融市場の混乱を通じて世界経済のマイナス要因となってくる。また、雇用情勢の改善が続く一方で、賃金の伸びが弱く、実質雇用者報酬は10~12月期の前年比+2.2%から同+0.5%に鈍化した(前期比でも-0.1%と10~12月期の同-0.2%に続き2四半期連続で落ち込んだ)。今後、エネルギー価格の底打ちの影響によって物価上昇圧力が強まってくることが見込まれ、実質所得の伸び悩みが消費を抑制する懸念がある。さらに、最近では人手不足の深刻化によって、一部の業種では供給制約に直面するリスクが指摘される。


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